日本のグロース市場を壊した正体
TradingView:赤色=日本10年金利、青色=東証グロース250 |
最近はとにかくPERが低下する形での売りが続いていた、
6ヶ月前比だと東証グロース250は13%下落している。
金利が上がりだした3月からだと底値では20%超の下落をしており、日本の中小型グロース株は下落トレンドに入っていた。
これを代表するようにSaaSやAI関連は多くが下落トレンドになっていたので想像しやすく、世界のAI相場は日本だとごく一部のAI株か半導体株だけだったことになる。
ちなみに東証グロース250が19%下落している3ヶ月間で日本の10年金利は約54%も上昇している、もちろん日本の低金利なので50%といってもなかった金利に金利が復活したという点で、3月の日銀利上げは日本の中小型グロース市場に留めをさした形となる。
他方で日経平均株価は年初来なら+16%を維持しており、プライム市場や半導体株、日本を代表する企業を選んでいれば2桁の利益は簡単に得られていた。
金利上昇の3月からだと-1%となっており、やはり金利上昇は日本を代表する大型株にも良い環境ではない。年明け1月からの上昇で後のりした人だと多くの人が利益を吐き出すか、マイナスになっていてもおかしくないので、この下落でバブル崩壊と言われるなら日銀が今回のバブルを壊した正体となる。
現在の日銀への利上げ期待は政府関係者や金融関係者からの意見が多く、金融関係者でも銀行ではなく投資に近いアナリスト関連なら日本の金利上昇には否定的な意見も少なくないが、全体で見ればメディアも円安害悪論を唱えているので世論が利上げを後押ししており、日銀の独立性は現状だと懐疑的です。
TradingView:水色=日本30年金利、真ん中=10年金利、オレンジ=1年金利 |
日本の30年金利は日銀の手から離れているので既に2%を超えている。
米国だと10年と30年での乖離がそこまでないので、日本の長期金利は寄せる側としては2%に近づいていく可能性がある。
ただ、1年金利は政策金利の影響を受けやすいですが足元は米国の1回の利上げ分くらいを織り込んでいる小さい上昇に留まっている。
それでも連動して上がっているので日本の長期金利は日銀の利上げ期待で上がっているのが自然で、上限を超えて上昇が続くようになったのは異次元の金融緩和後では初めての状況です。
金利が上がればグロース市場はダメ、日経平均株価でさえも指数はダメ
以前書いた記事にて、日本の指数は金利がどこまで上がるか分からないから買えないと書きました。
これは日銀がターゲットとする目標が分からないからで、本当に日本のインフレがアメリカ同様に2%で定着するなら金利はもっと上がる。
30年金利くらいのところが普通の世界となり、イールドカーブを考えたら全体的にまだ上がる余地がある。
投資家としてはここからが賭けで、日本政府等が現状の支持率で景気をぶっ壊しかねない、それこそ日本人がバブル崩壊後にまともに経験していないインフレ定着+失業率上昇ができるのか?が重要で、仮に自民党以外になったとして日銀総裁が交代しても独立性はなさそうなので金利が上がるか、円高を放置するか日本の企業にとっては悲惨なことになりそうです。
そうでなく、インフレ定着と米国の利下げ開始が緩やかに進んでいくなら、今の円安進行もペースダウンからいずれ逆転に向かうので、日本が長期金利2%までの過剰な利上げはしないだろうと私は踏んでいます。
仮に日本の10年債に2%もの金利がつくのなら、多くの余剰貯蓄を持つ日本人はこぞって好条件を提示する金融機関にお金を預けていくでしょう。
私の投資戦略としては米10年金利の期間ごとのピークを見極めて投資戦略を変えていくのがマクロ投資の方法なのですが、今回ばかりは日本の金利が大きく相場に影響しているので、日本の10年金利がどこで天井をつけるのか?天井確認したら速やかにグロース株をもっと買わないといけないと思っています。
青色=米10年金利、普通チャート=日本10年金利 |
日米の10年金利を6ヶ月前から並べていますが、青の米金利の方はピークを突破していない。
米国の方は利下げ期待での金利低下と利下げない?の再上昇で揺れ動いており、世界情勢のインフレを受けながらも直近の金利上昇はピークアウトしたように見える。
日本は米国が利下げをするまでドル円をどう抑え込むのか?
これ以外の戦略は存在しない、通貨防衛のための利上げは外債で破綻する新興国がやることで、資産国の日本がやることではない。
定期的に為替介入でドル高の上昇トレンドを潰しておけば、トレーダーが利益を得て、その利益でさらにロットを増やして円安加速というのを防いでおけば時間稼ぎはできるだろうか。
日本株にとって重要なのは最近は金利であることから、日本だけは米国の景気後退のシグナルが株買いとなる状態となった。
日本株は米国の経済指標が予想より悪ければ買われる、良ければ米国連動セクター以外が弱いという動きを続けるのだろう。
特にグロース株を買う人にとっては、米国の経済が悪化していけばいくほどいい。
特に経済状況が激変していない中でグロース市場だけ売られまくったのは日本の金利上昇が正体であることは、この記事の1枚目の画像だけで十分であり、売られている中に金利上昇以上を圧倒的に上回る成長ができる企業があれば買っておけばいい。