低PBRで配当/総還元性向が30%以下の東証フル無視企業 5社
東証はPBR1倍割れ以下に人権はないと宣言して久しいですが、なかなか改革が進みません。
株価上昇に関して、成長や株価上昇で〜とだけ書いてなんの方針も示さない企業が一定数あり、かといって還元も強化しない。そんな企業が多数残っています。
マネックス証券の銘柄スカウターで以下の低PBRかつ低還元を調べてみます。
①PBR0.8倍以下
②配当/総還元性向30%以下
本来はそう見つからないはずですが、464社見つかります。
低PBR&&低還元を満たすプログラムを組んだら日本株はまだまだヒットするということです。
ちなみに、"直近10年で最高益"の条件を追加すると、
464社→54社と1割まで減らせるので正体見たり低PBR株という感想です。
PBRが下から5社を取り上げていくと同時に、直近の決算の内容も見ていきましょう。
地銀は低PBRの理由があるので銀行は除きます。
ダイニック
出版文具・生活素材メーカー
PER6倍、PBR0.28倍…
地銀かな?というくらい割安ですね、上の割安株の指標で配当利回りは3.65%と🤔という感じです。もうちょい出せるだろ!と思います。
25年3月期の業績予想は6.9%増収の35.6%の最終増益で普通にいい感じです。
業績は2026年に向けた中期経営計画でセグメントごとの改善と、原材料高と円安には値上げでしっかり対応できているようで採算が上がっているようです。
今期の配当性向は21%の予定ですが、中期経営計画に配当政策や株主還元が書いていないので増配は特定の指標に従っているようではないので低めの配当性向で留まっています。
銘柄スカウター |
配当も3.65%と低くはなく、増配余地があるので上場している意味あるの?という疑問がありますが、還元強化で配当性向40%にしたら配当利回り倍なので、30%の配当性向でも4%超えで高配当化は経営陣の一声でできそうです。
FCFは21年3月期以降も黒字ですし、70億円の時価総額に45億円の現金同等物があるので財務も健全であり、規模的にファンドが入って提案は無理ですが、個人投資家が提案すれば話題になりそうです。
三菱製紙
業界中堅の製紙メーカー
大手が決算後に下落する中、最高益の三菱製紙は株価上昇中です。
PER4.2倍、PBR0.37倍、配当利回り1.29%
25年3月期は1.8%増収の91.8%の最終増益予想です。
ツッコミどころとしてはクレイジーな配当利回りで、利益が倍増しているので配当据え置きだと前期の配当性向10%なので今期の配当性向は5%程度となります。
仮に市場でもっとも多い配当性向30%となれば配当利回りは8%近いことになりますね。
下方修正癖があり、上方修正より下方修正が多いので要注意な企業です。
21年3月期までは業績が下降トレンドで、22年3月期から利益急上昇中なので配当の方針が全くない会社で、過去に〇〇%を維持ということもないので経営陣が交代しない限りは投資家が提案しないと投資家の方を向いた還元はしないでしょう。
過去10年で最高益!配当性向5%!
澤藤電機
日野自動車系列の電装品メーカー
PER8.4倍、PBR0.39倍、配当利回り2.7%
25年3月期は0.9%減収となるものの、21.9%の最終増益です。
この企業は業績の上方修正に合わせて増配しているので比較的還元する意識があるようです。
配当性向は22%から53%と幅があり、業績悪化でも減配はそこまでしない、増配は急激にはしないという方針みたいです。
配当性向的に増配は業績の上方修正前提のようです。
PERを軸に考えると過去5年で最低圏で下方修正があっても減配はすぐにイメージできないので配当利回りが高くない、けど下落幅も小さいという感じでリスクは低そう。
株主還元の何かがあれば買えそうですが、上の2社の方が増配余地は大きいですね。
ヤギ
繊維専門商社
PER7.5倍、PBR0.4倍、配当利回り3.5%
25年3月期は5%増収、2.7%増益で今回の中だと弱めの予想です。
この会社は決算説明資料があるので見やすいですが、還元のところだと今期の配当性向は26.6%で満足しているようなので特筆すべき点なし。
竹田iPホールディングス
竹田印刷を中核とする名古屋基盤の印刷グループ
PER8倍、PBR4.2倍、配当利回り3.78%
25年3月期は4.2%増収、5.8%増益
配当利回りがこの中で一番高いですが、今期は中期経営計画の策定で配当性向30%になったようで大幅増配をしています。
中期経営計画は今年度から26年度までの3年間です。
業績はさておき、配当性向30%+下限の設定とPBR0.7倍の目標ということで資産が増えながらの3年後にPBR0.7倍なら株価は2倍以上になっているでしょう。
29年度までにPBR1倍を目標にするということで持続的に株価を上げていきたいようです。
下限配当は
25年3月期 予想33円 下限30円
26年〃 予想37円 下限33円
27年〃 予想47円 下限37円
こういった設定になっており、増益が前提ですが累進配当のような感じになっています。
業績予想修正ではコロナ後の不確実時代では下方修正が0で、上方修正が3回と業績が安定しているので増配宣言と下限配当、業績の安定性を考えると割安の脱却を掲げる中期経営計画の策定、増配も30%の配当性向を定めている点で上の4社と異なり気になりました。
印刷グループですが、成長分野への投資でロジスティクスのBPOサポートとシステム関連事業、半導体関連が利益を牽引する成長分野となっており、印刷グループとしての成長なら🤔ですが、成長性のない印刷から転換しながら成長分野に振り分けていく投資なのでITと半導体で伸びる予定の低PBRなら全然あり!というイメージに変わりました。
コロナ直撃とその翌年度だけ営業-投資CFがマイナスになっていますが、営業CFは10年で赤字なしで投資をしっかりしている印象でFCFは安定しています。
77億円の時価総額に対して60億円の現金同等物があるので投資はまだまだでき、成長分野への投資CFはしっかり出せるでしょうから財務に問題ないです。
PERが暴れ馬感がありますが現在は過去2年で安値圏で過熱感0です。
23年のPER急上昇は本決算後のコンサバ予想で減益→PER上昇ですが、期中の上方修正で戻っておりその後の株高に繋がっています。
成長投資分野がITと半導体で既に事業としては中核になっているので継続できるところで、九州に工場がありTSMCブームにも実は乗っているので面白い企業でした。