投資家という連中は何をしているのか?
投資家と聞くとお金を右から左へ流して儲けたり、楽して儲けているイメージもあるでしょうしマネーゲームと言われるように揶揄されることもあります。
投資家は分類を分ければ機関投資家と個人投資家に分けられ、とりわけ機関投資家は社会の歯車として過去200年は最重要な役割を担っています。
アメリカ人は人口の多くが起業家であり、もっと多くが投資家である。
世界でもっとも成功している資本主義のアメリカは日本より起業する人が多く、1人が起業する回数も日本より多いので結果として試行回数が日本と桁違いです。
また、アメリカの起業家はほぼ100%投資もしており、ベンチャーから大企業になったら次の大企業になる可能性のある起業に大投資して次の起業家を育てる市場が出来上がっており、大企業が次なるもっと偉大な大企業を生み出していくのが日米の致命的な違いです。
アメリカ人は平均的に資産の3割から5割を株式で持つほど、投資がスタンダードで日本との致命的な差です。
銀行融資では足りない
投資家は企業を成長させ、次なる大企業を生み出すのに欠かせない機能ですが、日本人の反論に銀行があるだろう?という話があります。
銀行も一応は機関投資家に分類されます。が、例えば起業したい人にお金を貸し出すだけなら投資でなく貸出であり、債務を負っているので起業家は返済の義務を負います。
ですが、投資家が起業家に投資をする場合は返済の義務はありません、銀行から借りた場合は他人資本ですが、投資家から投資を受けた場合は自己資本になるのが投資と融資の違いであり、ここに大きな差があります。
例えば日本で1からベンチャーを立ち上げようと思ったときに銀行から融資を受けられるでしょうか?、融資は1年目でこれくらいの売上で、数年で黒字化できますという計画性がある飲食などのCFが早期にプラスになる起業に使えるもので、例えばGoogleやAmazonなど黒字化までに長い期間を有するベンチャー企業に銀行は基本貸しません。
もし、日本からGoogleやFacebookみたいなプロダクトが過去にあったとしても、法律の問題も邪魔するでしょうが、資金不足でスケールできないのが問題になるでしょう。
日本ではようやく成長性を評価した銀行融資が始まるレベルで、海外のような赤字グロースは今までは銀行からの融資に値せず、日本からビッグテックは生まれないままでした。
融資は利子の獲得をメインとし、返済の確実性を評価する。いかにも日本人らしい少リスク小リターンで低金利日本ならゴミに等しい。
出資(投資)は最終的には配当で利子のような性質もあるが、事業の成長性を評価したハイリスク・ハイリターンな行為です。
簡単に言えば、成長しなくとも利子を取るのが融資で、成長したら配当という無限大の利子を得るのが投資です。
投資であれば取得単価から見て配当利回り100%もありえます。
投資家別、企業の成長の関与
起業家に出資するのが投資家ですが、彼らには複数のタイプがいます。
この種類が多いアメリカは多くのユニコーン企業が出てきて、AIなど最先端技術で圧倒的に結果を出していきます。
立ち上げ直後の企業に投資するにはプロダクトを評価したり、起業家の経歴などを見て、まだ実績の少ない/ない企業に出資することになり、とにかくハイリスクな投資をするのがベンチャーキャピタルの役割です。
超成長企業は上場してから5年以上赤字で成長していることが多いですが、上場前もずっと赤字で赤字を膨らませて成長するのが基本です。
投資家は成長へ払っているコストを引いて本当の利益を評価して投資をするので、赤字だからダメというわけでなく、金利上昇時でさえなければ赤字グロースはいずれ莫大な黒字を生むので評価されます。
ベンチャーキャピタルが大きな利益を上げるには、この赤字でグロースする企業が資金が尽きないように経営支援したり、次の資金提供者を探したりして上場させることが一つのゴールです。立ち上げ初期に投資していれば上場した時点で千や万%のリターンでしょうw
大企業も重要な投資家機能を有しており、ChatGPTのOpenAIにマイクロソフトが1兆円以上出資しましたが、大企業は次なる技術が出てきたときに莫大な資金で投資をして成長させることができます。可能なら買収という最大の投資をすることもできるでしょう。
トヨタは過去にテスラの投資、ソフトバンクはアリババに投資など日本企業も外国企業に投資をしており、大企業が次なる企業に投資をするのは当然のケースして日々起きています。
ソニーはエピックゲームズに投資していたりと業界内で大きな変化を見るに大企業からの投資は見ておくべきでしょう。
保険や銀行の投資家機能は上の投資とは異なっていて、顧客のための運用をしています。
保険は保険商品を作るときにデュレーションが決定するので、顧客から保険の料金を受け取りながらそれを株式や債券などで運用します。受け取った資金を増やしていくことで実際に顧客に保険料を払うまでの運用で利益を出します。
保険はシステム的に不可能なら保険商品を停止すれば終わるので、デュレーションが重要です。
銀行は顧客からの預金を増やすことで、顧客に利子を払っています。融資がメインでなくなった現代では、債券などの安定資産やリートなど年利1〜5%程度の安定資産で顧客への小さな利子以上に稼いでいます。
銀行預金は短期性が高く、保険と異なりいつでも引き出せるデュレーションのリスクが高いため、銀行では一斉引き出しが起きると破綻するリスクがあります。
銀行預金の利子が1%にも満たないのに投資家への配当利回りが3~5%あったりするのは銀行業の面白さですw
既に成長した企業を評価する投資家たち
ここはもっとも抽象的な世界で、上の実利のある世界とは異なりファンタジー感がありますw
この世界だと個人投資家が大きな存在感を発揮できるフィールドです。
上場している、誰でも決算資料に触れることができる上場企業の価格が適正だと思いますか?
効率的市場仮説という考えがあり、常に企業価値は適正に保たれており、投資家が儲かる機会が放置されていないという仮説です。昔のアメリカで流行っていたものでクソです。
例えばですが、現在の売上が100億円で純利益が20億円の企業があります。
この企業は過去に年率25%ずつ売上と純利益が成長しているとしましょう、今年もそうです。
この企業のPERが15倍だとすれば市場は合理的でしょうか?
PERが15倍なので時価総額は300億円です。PSRであれば3倍です。
来年も25%成長するなら純利益は約25億円になっているわけで、さらに2年後は約31億円となっているでしょう。時価総額が300億円なのでPERは現在のままで2年後の利益水準なら10倍割れです。2年間のリスクを負うのは市場の中では凄まじく高リスクですが、評価されるなら株価水準が大きく上がるのが自然です。
私の答えは割安だと思うけど、知らないですw、相場によっては評価されるでしょうが、相場によっては全く評価されない可能性があるので相場次第と言えます。
投資家はこういった投資機会を見つけても放置する傾向にあり、下のような企業へ資金を移しがちです。
上と売上と利益は同じで、今年の成長が共に10%という予想だった。
しかし、予想を出した3ヶ月後に事業が好調だから10%増益の予想を30%増益に修正したと発表し、同時に配当も利益に合わせて増額したとします。投資家が買うのは、まさにこの変化です。
何年後の成長性の評価よりも、途中で成長性が上に修正されることを何よりも好むのが投資家の短期性です。
別の条件として相場が4週間くらいじわじわと下落したとしましょう。(相場の変化)
投資家はストレスに晒されており、資産の評価はどんどん落ちています。
下落が続く間で、A社が業績上方修正だ!で次の日は上がりましたが、下落相場の途中なので2日目以降は売られ始めて、1週間後には上がる前より下落しました。
また、B社は本決算を行い来期は40%増益だ!と発表しました、下落相場なので対して上がらなかった上に、次の日から下落相場に負けて下落開始しました。
さて、投資家は企業を適切に評価できているでしょうか?
答えは全くできていないです。
上方修正していたA社は相場反転か、どこかのタイミングで安くね?と買われだすし、40%増益の好調なB社もどこかで大きく上がっていくわけです。
これは下落相場という悲観的な状況だとバラ色の情報開示があったとしても、全体の下落が続くと負ける可能性があるという不合理性を帯びているわけです。
投資家は1週間以上下落が続くと、永遠に続くと勘違いして企業の適正評価をしなくなります。逆もあって、1週間以上上昇すると永遠に上がるとなんでもポジティブ評価しだしますw
これが既に上場している企業を評価している人たちのファンタジーな動きです。
2週間前にはA社はダメだ!もう終わった!〇〇円まで下がり続ける!と投資家が悪口を書いていたものが、数日後にはA社を信じていた!再出発だ!やっぱりA社だ!〇〇円まで上がる!と喝采に変わるのが相場です。
投資家というとPCの前でカタカタしているイメージがあるでしょうが、実際には企業が成長する全ての過程で違う投資家が複雑に絡み合っています。
企業は投資家がいるおかげで資金調達を豊富な選択肢から選ぶことができます。投資家が高く評価する企業は、資金調達の際の金利が低くなり、銀行融資以外にも効率のいい資金調達ができることで、もっと将来を見て資金調達をし成長することができます。
投資家が評価した自己株を用いてM&Aすることもアメリカなら主流ケースで使われているので、株式という機能は経済において最重要な点なのですが、日本では軽視されているので今まで成長性で大きく劣ってきたのでしょう。