PBR上昇or低下の基本概念
市場では引き続き東証の大号令による低PBRと低ROEの銘柄が買われています。
東証は企業にROE改善を通じてPBRを改善してほしかったのだと思いますが、現状だと勝手にPBRが株価上昇で改善されROE上げなくていいんじゃね?感が出ています。
まず、前提としてROEを高める経営をしてきた企業が結果としてROEを高めて、それでPBRが高いのは努力の成果で、東証は天下の大号令で努力してきた企業じゃなくて不努力の企業を買うように誘導したのが2023年の出来事です。
ROEの改善こそがPBR改善の最善効果
もし今後にPBR1倍以上、ROE4%とかの1桁前半前後の企業が市場に溢れるなら日本株の収益性や資本効率はクソのままで東証の政策はミスったと言えるでしょう。
ROEを高める経営効率編
- コスト削減
- M&Aで収益拡大
- 研究開発で高利益化
全体的に企業の質を上げる方法で結果としてROEが改善します、ROICにまで踏み込むと採算性の低い事業を売却してコア事業を深掘りするという方法もあり化学株がよくやっています。
ROEを高める自己資本の減少
- 配当を増やす
- 自社株買いをする
今年のバリュー株の動向を見ていれば答えは明白ですが、日本株のほとんどは自己資本の減少あるいは還元で時価総額を上げることで株価=PBRを高めようとしています。
自己資本が減れば財務レバレッジが高まるので少ない資本で稼ぎ出すという点でROIC的な要素も改善されるはずですが、それはコア事業へ競争力の高まる投資をし、FCFを拡大しながら株主還元することでPBRもROEも上昇していくという米国スタイルで、日本株は現状だと1つ足りていない。
ROEを上げれなかった企業が上げられるのか?景気敏感株にPBRとROE向上は残酷
ROEを高めてきた企業はM&Aを適切に行い、コア事業の周辺分野を拡大しながら収益性を拡大してきた企業で、こんな企業が30倍のPERでも安いと言えるでしょう。PBRが5倍以上でも不思議とは思わない。米国株にはいくらでもある。
低PBR企業は一時のトレンドを除けば低ROEであり、取り組んでいますが今年や来年に利益が増加しづらい状況では増配と自社株買いのみが改善策となるので苦しいです。
ここで気になるのは鉄鋼や化学など景気敏感や景気循環型の企業が継続的にPBR1倍以上になるのは難しいのではないか?という点で、米国にもPBR1倍割れがありますが、参考にしているのが米国株らしいので米国にある低PBRと日本の低PBRは同じセクターであるべきでしょう。
例えばINPEXは株価が上昇トレンド継続ですがPBRは0.7倍です。
時価総額で5兆円〜6兆円でないとPBR1倍にならないですがROEが不安定なのが景気循環型の特徴で、2020年はマイナスのROE、前期は13%、今期は7.4%とROEが安定して上げづらいセクターがあります。
株価絶好調の日本製鉄もPBR1倍割れですが、ROEは20%→18%→9%と減少しています。
日本の低PBR株は特徴として4~5年に一度は赤字になり、黒字でもROEは1桁で、たまに2桁になる。これが循環している感じで銀行株は赤字にはなりづらいが低金利でROEは減少から停滞している状況で金融正常化の期待が頷けますが低PBRには理由があったのが日本株の特徴です。
増益が続いて、ROEも安定している企業のPBRは必然的に高くなるので高収益の日本企業はPBR1倍なんて脱していた、それ以外には低PBRが当然のセクターがあって、東証の号令で低PBRが必然だった企業を上げにいっているので日本市場の資本が非効率化しているのは懸念点です。
商社などの資本を高利益の事業で利益を上げるセクターがPBR1倍割れだったのは不当だと思います。日本の3大商社はROE2桁がコロナ以前から継続していたため是正されるのは当然です。
商社が株主還元を通じてPBR改善したのは先にROEが高かったためであり、他の低ROEで不安定で成長が期待できない企業にはPBR1倍ゴール以上の期待ができない。
銘柄スクリーニングでPBR1倍割れかつ実績ROE15%以上を探すと86社しかなく、ここはPBR1倍以上に改善される期待はできるとして、ROEが低い企業は経営計画を出して改善する道筋を示して時間差でPBR問題が解決するのが理想的で、こんな1年で相場を動かすほどにするべきではなかったでしょうね。