東証が打ち出すPBR1倍以上へIRや還元を強化する政策はどうなのか?
東証は市場区分を2022年に見直した日本株のPBRの低さを問題視しており、2023年春以降は低PBR企業は開示等をする必要があります。
日本の主要指数であるTOPIXの半数近くがPBR1倍割れであり、万年割安株な日本株においてPBR1倍割れの多さは問題となっています。
構造的にPBR1倍割れとなる地銀や不動産、大規模設備を必要とする製造業などはPBR1倍割れでも仕方ないところがあり、自社株買いだけで1倍以上になることは不可能です。
最近の日本株は外国人が買い越す市場というよりは、アクティビストが株を買い占めて自分たちの要望を押し通すことで株価を上げて売るという活動の餌食となっており、日本企業はそもそも株主還元を強化するか、成長投資でPBRを上げないと餌食になり続ける懸念があります。
投資家としてはPBRが低くて成長している企業には注目すべきで、日本製鉄の最近の動きはこれに連動しています。日本製鉄の直近IR資料を見れば分かりますが、配当など投資家還元が資料の上の方にあり、多くの企業が株主還元を最後の方に掲載する中でアピールしています。
PBRを引き上げる方法
- 成長性がある場合→自社株買いと成長投資
- 成長性がない場合→総還元性向を80%以上、欧米並みにすることで株主還元
これがマストです。
当ブログでも取り上げましたが、総還元性向を引き上げれば投資家は安心して買えるため、著しい衰退でない限りは総還元性向が低PBR企業の動向を握るでしょう。
あと、日本人はどちらかと言うと自社株買いよりも高配当を重視するため、配当性向50%を目標とする低PBR企業なら比較的良い還元と言えます。
多くの企業でIR資料が機能せず
また、私は低PBR企業のIRも見ますが、そもそも説明資料がない、決算短信でのセグメント状況が見づらいなど事業進捗が分からない企業が結構あります。
株主の方を見ていない企業に投資家は向かないので、そういった企業はアクティビストの餌食になりやすいです。
投資家人気が高い企業はアクティビストの対象とならない水準になっているので、上場している企業は株主への情報提供をしっかりしないとPBRが上がるはずもないです。
時価総額1000億円クラスでもIRが不足している企業が多いので、しっかりと情報開示して還元性を高めることができれば、多くの企業は安心して買える割安株という評価となり、それだけの改善で投資家は注目せざるを得ない状況となるでしょう。
MBOが増えるか?
なんで上場しているのか分からない企業が多数あり、そういった企業は市場機能は不要じゃない?と思える企業が多数です。
そんな企業は経営陣などが自社を買収するMBOが一定数増えるかな?と思います。
大株主に従業員の持ち株会があるならMBOの可能性も考えたい。
IR強化は起きるはず
低PBR企業はIR強化をするべきです。
そういった点ではアイ・アールジャパンやTAKARA & COMPANYなどのIR支援をしている企業には追い風です。
低PBR企業においてはIR強化や優待、増配、自社株買いなど色々と期待でき、何をするにしてもIRなくして還元なしだと思うので、無借金企業&黒字企業で総還元性向30%という無限低PBR地獄を進める企業は淘汰されていくのかなと思います。
まずは低PBR企業で株主還元やPBR向上への施策が出てくると思います。日本製鉄は業績と相まって株主還元が評価されていますが、業績が一定の企業でも株主還元で十分にPBRを上げられると思います。