今回の日銀利上げで投資家が犯したミス
私は日銀が利上げすることはあっても、0.25%以上の利上げは相当慎重になると思っていました。
つまり、利上げ後に動かないと見ていました。
さらに付け加えると、日銀の政策決定前に政府が為替介入していたので円安を止めるのは為替介入でしていくのかな?と勝手に勘違いしたことで、為替介入後にドル円が再び上昇基調に戻っていなかったので利上げは一応して状況変更をある程度するんだと思っていた点です。
アナリストや経済学者の中にはそもそも日銀が利上げできる状況ではないということから、利上げをそもそもしないと考えていた人もおり、過度な利上げをしないというのが全体の平均な意見だったように思います。
今回犯した投資家のミスは日銀が想定以上にタカ派だった点、利上げの理由がイマイチ分からない点で、一応は今後に実質賃金プラスは見えているので、それが消費を押し上げるだろうと想定しての利上げと無理やりに説明されても納得はできないです。
日銀の急激なタカ派変更は2022年に相場をぶっ壊したFRBのタカ派転向にあまりにも似ており、インフレとの戦いを決意した日銀はかつてのFRBと同じで相場を無視してぶっ壊しています。FRBの利上げが本当にインフレを退治したのかは疑問が残りますが、シリコンバレーバンクを潰したり金融にプレッシャーをかけ、クレジットカード延滞率を高水準に上げたりと景気鈍化は起こせたのでFRBのプレッシャー利上げは相場と銀行をぶっ潰すなどの効果があったと今では評価できます。
日銀が利上げをすること自体は大方の予想どおりでしたが、まさか連続利上げする気とは思っていなかったので、既に年内の追加利上げを7割が予想する状態に変化しており、次の利上げを前提とした相場に強制的に移行する過程で日経平均株価は8000円くらい短期で急落することになっています。
過去の日銀による連続利上げは相場を破壊しているので、最低レベルがバブル崩壊ですが、ITバブル崩壊、リーマンショック前にも利上げしているのでヤバめのショック前に日銀が利上げするジンクスからすれば、間が悪いのが日銀です。
そう、この間が悪いことも投資家が犯したミスというか日銀が犯したミスでしょう。
利上げが何回か問題なくされるくらいなら、市場が調整してセクターローテーションなどで主役が交代するだけで済んだはずです。
今回の利上げの間の悪さは直後に米国経済指標が如実に悪化してしまった点、あとは米大統領戦でトランプとハリスのリード対決で米株自体に不確実性が高まってしまっている点で、米株で忙しいのに日本はそんな不確実性を増やすな!という状況で海外勢が1年ぶり以上のペースで売り越した点でしょう。
このタカ派を今年の3月にやっていれば影響は大きいですが、米大統領戦周辺のゴタゴタ、明らかに景気鈍化していた米経済指標に被らずに済んだでしょう。
結果論になりますが、利上げ直後に雇用統計の悪化と失業率アップ、製造業の景況感連続悪化などの問題が次々と出てきて、Nvidiaの問題も出てきてと…とにかく間が悪いです。
今さらの連続利上げ転向だけでも投資家の日銀の政策読みのミスで大勢が売らないといけないのに、米国まで悪化してきたので日本は米国景気鈍化or悪化で利上げするの!?で問題①と同時に、世界に全体に現れた問題②を別次元で処理することになったので結果として世界株でもっとも下がる状態になってしまいました。
私の今回のミスは3月に日銀が拙速な金融正常化をしていることを書いていたのに、7月だしFRB利下げが9月に決まる前提で日本の利上げは1回かな〜〜〜♪と楽観視していた点で、思った数倍タカ派の日銀を想定していたら日本株をショートしてヘッジしていたでしょう。
さらに書くなら、米国株の側で半導体株指数が乱高下しているのも問題で、日銀の利上げ後にSOX指数が5%以上上がっていたので大丈夫かな〜〜〜♪とまた楽観視してしまっていた点です。
ポジションは決算前や日経平均株価の4万2000円の最高値更新で減らしていたので、昔にくらうよりは軽症ではありますが、ショートヘッジなしの裸で持っているグロース株は連日で5%以上の下落をしておりショートを持っておけば良かったと後悔しています。
その上で書きますが、未だに日銀の利上げ理由は解せない。
海外勢が円安で政府介入を警戒して日本株売り越しになっていたのは、日銀に戦略がないことを見越していたからでしょうか?
植田日銀の「理由なき」追加利上げ 収益増で金融機関は笑いが止まらないのでは 日本経済への悪影響は大きい
日銀総裁は岸田総理からの要請でウソをついてまで「利上げ」を敢行した…そう考えざるを得ないこれだけの理由
利上げの悪影響を語るのは簡単ですが、それ以上に問題なのは何で利上げした?何で7月だったのか?次の利上げの基準は何か?が分からない点で、上で説明したように実質賃金がプラスになるはずでそれが消費を押し上げればインフレ率とGDP増で〜みたいな将来の話をベースに利上げしたようにしか無理やりな説明がつかない点で、インフレと戦うならなぜ今?円安を止めるためでもなぜ今?
金利を引き上げてもインフレがすぐに終わらないことはFRBが示してくれた、内需が強ければ利上げしてもGDPが成長することもFRBが教えてくれた。次はFRBが利下げが遅れた影響も教えてくれそうだが、日銀が今更利上げを複数回急ぐ理由が本当に分からない。
これは多くの投資家やアナリストも同じ意見だと思うが、インフレや利上げ理由なら2年前くらいから利上げができたので今ではないと思うのが普通です。
なので、無理やりのストーリーとして実質賃金プラスを考えてみましたが、私は実質賃金がプラスになるのか知らないですし、実質賃金がプラスになれば内需が回復するか知らないので日銀が知っていて余裕で利上げしたのなら説明してほしかったです。
植田総裁の「わが国の景気の現状は、一部に弱めの動きもあるが緩やかに回復していると判断した」というのは未来ベース以外では到底説明がつかないので、私の第二のミスは植田総裁が未来からタイムスリップしており、7月から利上げするのが本来は最適で、ここから日本の実質GDPは1%→1.5%→2%→2.2%→2.3%みたいな安定成長する世界線だから利上げできたということを私が読めなかったミスですね。
経済指標すら見ていない可能性が出てきた、投資家やアナリストが東大教授出身の植田総裁なら経済指標を見て判断するだろうと考えていたのも犯したミスで、日本のGDPは円安でプラス、円高でマイナスになるというのも知らずに円高へ舵を切ったのだろうか。
昨年度の経常収支 25兆3390億円の黒字 過去最大の黒字額に
円安や設備投資などで収益性を高めている日本企業は確実に円安を仲間として経常収支を上げてきました。
これは円安だから起きたもので、円高では起きない不可逆なものです。
金利をつければ庶民にプラスになる、タンス預金や預貯金合わせて260兆円に2%の金利がついていたらーなどの意見もありますが、そもそも株の方が期待リターンが高いので、日本人の資産が全部株式だったら日本人の資産はもっと増えていたわけで、金利があれば日本人の資産は増えていた論は株でも成り立つので論外です。
アメリカはもっと前に資本主義の大人な国として公益の株式として、401kなどの公的な株式投資で日本よりも国民資産を増やしてきた国でベイビーな日本国が利上げして金利をつけても、株式でしっかり資産が増える国と比較すれば致命的な差で、最近の日本株は米国との差を埋めていたので金利が高ければ論は、それ以外全てを捨ててまでやることではないので利上げを急ぐ意味や、高い金利に誘導する意味自体が日本の経済状況では極稀なケースです。
全体で見れば日本が利上げを連続させる意味も、それができる状況と現時点で判断できる材料が乏しいです。
利上げの根拠が乏しく、利上げの好影響も過去を参考にすればほぼないので、利上げで円高なら失業率アップでデフレなのでお金を使わないのが正解です!
デフレで株や不動産が下がるので、実体経済が痛むまでいったら貯めておいたお金で割安な日本の資産を買い漁って、次の世界的な金融緩和を待ちましょう以外に明らかな答えはないです。