日本のAI株はブームで業績が伸びたのか?
2022年末からの世界的なAIラリー相場と言える新たな上昇トレンドで米株は2700兆円も時価総額が増加しました。
米株においてはS&P500指数に勝てる構成銘柄が歴史上でも低水準な状態で一部のビッグテックのAIへの期待で上がってきたという状況で一部の大化けかビッグテックかというのが直近の動きだったでしょう。
日本においてはAI株ラリーは2023年だけで終焉した感があり、それ以降は米株が上がるから日本の中でAI→半導体で半導体株が大きく上がっていました。あとはデータセンター周辺や電力。
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売上の成長率はどちらかと言えば落ちており、利益が増加するフェーズとなっています。
米国のAI株は年率で100%の売上成長から落ちて60%とかだったので、日本だとMAXが米株以下で利益成長に入っているので売上成長に期待感が持ちづらく、利益成長は大きいが・・・という状態です。
Appierの時価総額は約1300億円となっており、340億円の売上の5倍ちょいという評価で割安感があります。売上成長が落ちているので10倍の評価はつかないのでしょうか?成長著しいAI株なら売上の10倍の評価は米株なら普通の評価だと言えます。
利益は急増していますが、これでもPERは70倍となっており、AI株ならば売上成長50%へ向かってPERが悪化するほうが個人的には評価できます。この規模で利益を増やしていくと時価総額の上限が低くなり増加がしづらいでしょう。
M&Aなどの効果と新たなトップライン成長への事業があれば良さそうですが、オーガニックな成長率が物足りない印象のAppierが日本のAI専業株だとトップクラスです。
売上成長に関してはM&A効果もあったりするので簡単には言えませんが、2022年末から日本でもAI利用はたしかに増えたはずで、PKSHAはAI専業で複数事業を同時並行で進めている割には売上成長が明らかに弱いです。
たった20%の成長率ならコンサル企業がAIをフル活用したほうが成長率もあるでしょうし、利益率も出そうです。
お次はAIビッグデータ解析のユーザーローカルです。
こちらはシンプルで競争相手が増えたためか成長率が鈍化しています。
日本におけるAIセクターの成長率は他のセクターよりも高いですが、シンプルに規模が小さいのでITをやっている企業が相次いでAI事業を始めたので専業だった企業の成長率が伸びているというデータがないです。
最近は日本のAI株自体に元気がないので新規銘柄はあまり見ていませんが、今回取り上げたトップと小型の4銘柄で売上成長が20~30%程度で、2023年以降に業績が良くなった感じも見られないので日本のAI企業においてはAIブームが対して意味がなかったと言えそうです。
この成長率でも日本の普通のIT会社より成長率自体は高いです。
ただ、それでPER50倍以上もつくほどの実力はないように思えます。
2024年になってAIというのがだいたい見えてきて、一般ユーザーからすればOfficeとかPhotoshopに追加された新たなオプション的な感じで、あれば便利ですし慣れれば必須となりますが、新たに乗り換えるサービスとしてはそこまでないです。
せいぜいChatGPTくらいで、その後に革命的なAIサービスは生まれているように思えず、既にに覇者となっているツールやデバイスを展開する企業がクラウドやSaaSといった成長領域から、投資家の要望に答えてAI領域や事業に手を広げているだけのようにしか思えません。
Appleが一時期車を作るという自動運転とEVバブル的な影響から、それが終わったために止めて、次は投資家に答える形でAIの発表があったのが象徴的でAIという領域への期待先行やAIをやっていないと企業として終わっているという感じで無理やり投資が進んでいる感があり、成長性がある領域を持っている堀のある企業には無関係でAIはトレンドの一種から出れていないように思います。
AIが思ったより社会を変えていないし、思ったより必須の技術でもないようで日本におけるAI企業への追い風にはなっているように思えません。
成長率の推移を見るに鈍化傾向にあった企業は多いですが、それを上向かせるほどのインパクトはなかったため株価がどんどん上がるという状況ではないようです。
今回のバブルでNvidiaがバブルではないと言われるのは成長率がとんでもないからで、それ以外にはバブルっぽい。株価指標だけ上がった企業が多いのでふるい落としでAIを自社サービスの独占に利用できている企業と分断されているのでしょう。