日銀のマイナス金利解除なんかより恐いFOMC
アメリカの経済が全く読めない状態が続いている。
雇用統計の無限下方修正のように個人なミクロでは悪化が何箇所でも見られる。
他方、FRBが最重視しているインフレに関してはマクロな世界情勢の悪化もあり、PPIが反発したりPCEも利下げを急ぐ結果でもなくなった。今の上下が続く形ならFRBは中立金利の引き上げを明確にする可能性がある。
これがFOMCの最大の警戒ポイントで中立金利が引き上がるのなら日銀がマイナス金利解除する程度では不可能な円安要因となる。日銀の金融正常化は限界が分かりきっており、どうせ75bpまで政策金利上げられないんでしょ?と市場は舐めている。アメリカのインフレ指標が弱くならないのを見て日銀リークは効果を消していった。
中立金利が上がったのなら米株は割高
マグ7はテスラが終了しマグ6と言われていますが、このビッグテック株は最近軟調となっている。特に目立った理由はないが周辺銘柄がじわじわファンダの限界が見えだした。
中立金利の議論があるのなら、米10年金利はこれに反応する。
上のハイテク株や半導体株は業績関係なく長期金利に逆行するので金利という外部性はハイテク株にはつらい。
実質金利を考えると10年金利が4.3%を超えると米国株は利下げ織り込みからの巻き戻しをくらう。中立金利の引き上げが、ないとは思いますが、もしあるのなら4.3%を一時的にブレイクすることはありえます。
2.5%付近とされる中立金利までの利下げを相場を織り込んでおり、今年と来年でFRBが高い引き締めからの金融正常化へ向かうというのが米国株のストーリー、
一部では4%まで上がったという説もありますが、小売の動向を見ているに今のインフレ率を受け入れているようには見えないのであって3.5%、控えめで3%くらいだろうと思います。時間が経ってもダブルワークや賃上げ闘争などでなんとか生活を守っている米国人は資産効果でなんとか老後への資産は増やせているでしょうが、キャッシュフロー的にしんどいと思います。
バイデンの利下げ発言の真意は?
金利はもっと下がると発言したバイデン大統領ですが、大統領選の動向はあまり良くない。
相場ではもしトラと言われていますが、トランプ大統領復活の可能性が上がっている。
インフレを潰せなかった大統領はインフレが争点なら厳しい。
株高だと現職の大統領は勝ちやすいが、貧富の差を拡大させるのも株高なのでこれだけでは苦しい。
生活のことを考えると上に書いたようにインフレが何度も帰ってくるので、レイオフに耐え、賃上げ闘争に挑み、低賃金の移民の雇用を優先する企業への大バッシングなど労働者は苦しい状況にある。
最近のパートタイムがメインで改善している雇用統計は本来働いていない人まで労働参加しているのを示し経済が好調の意味とは取れない、コロナの給付金で働かないときのほうが好景気だった。今の失業率は当てにならない。
クレジットカードやリボ払い、後払いなど生活費不足を耐える最後の砦は金利上昇で負担が増え、延滞率も上がっている。
上の部分をテーマとするならバイデン大統領が負ける可能性は大いにあり、トランプがアメリカ人の労働を守る、アメリカの産業を守る保護主義ですが、いま苦しい人はトランプに投票するのが自然で、無党派層がトランプに傾いている。
グローバル経済をメインとするならバイデン大統領なのでしょうが、世界情勢のせいでインフレが沈静化しないのでアメリカはアメリカという考えのトランプは短期的には有利。
バイデン大統領は利下げによる国民への金利負担の低下や企業活動を活発化させて、正規雇用を増やしたいように見える。
労働者の票をめぐってトランプとの演説合戦をすでに始めていますが、労働者からすれば金利が下がらないと国民が借り入れする金利は下がらないし、企業活動は利下げがないと勝ち確の領域、つまりリターンが大きい分野への投資しかおきなくなる。
バイデン大統領の利下げや金融引き締めを弱めるべきみたいな考えは実際には合っていると思いますが、彼らの政策がインフレ率低下どころか加速に繋がってきた背景があるので独立性を維持しているFRBからすれば「???」でしかないです。
FOMC
バイデン大統領の利下げが増える期待。大統領選を考えると金利低下は家庭負担低下でインフレが急低下しない限りは有効。
FRBはインフレとの戦いは長いとしており、利下げを急げば政策を難しくするので金融引き締めの解除を他の領域でしたいでしょうが利下げは本丸なので引っ張るでしょう。
FOMCは何事もなく経過するのが基本ストーリーだと私は思っていますが、中立金利の議論がされるなら市場はここに過度に反応すると思います。
もし、今年の利下げが2回から1回になるなら実質的に中立金利引き上げと同じなので利下げ回数が減っていくことも=中立金利上昇?とマーケットは認識しそうです。
FRBとしては利下げを急ぐこともしたくないでしょうし、他の議論で上げ下げするのも避けたいでしょう。中立金利は長期金利に影響するので大きな影響を与えるので言葉を選びながら様子見を続けてくると思います。
ただ、FOMCで出てくるメンバーの見通し次第では金利上昇からのハイテク株売りはあり得るでしょう。
逆に考えると中立金利等、金利上昇を先に織り込んでいるのでFOMCを無事に通過すれば買い戻しも期待できます。
最近マーケットに入った人は長期金利上昇による材料なしのハイテク株や半導体株の無限売りは経験がないと思うので、今年最初の警戒ポイントがFOMCでしょう。