S安となった日本ホスピスを分析する
今の日本株はアメリカよりも株主還元に敏感な投資家に支配されていて、過去最高益!?還元強化ないの?なんのための過去最高益なの売るわい!!!となっています。
介護関連の日本ホスピスは本決算で業績未達からの最高益発表で20%安のS安となりまして、PTS状況では明日も下落で始まるようです。
マネックス証券 |
株価としては1800円台への下落が視野に入っているので直近では安値圏を下回る下落となりそうで、決算に向けて投資していたフルレバ勢がいれば消滅していくのでPERや株価水準を無視した売りがしばらくはあるでしょう。
また、売り時を探す投資家が残っていれば少しの反発では次から次へと売りがやってくるのでしばらくは静観が必要となります。
SNSで投資家が買い煽ったという情報もあるので情報に無知な人が多く捕まっている可能性があるので、現在は既にディープバリューな領域ですが簡単に反発はしないでしょう。
私はバーゲンハンターなので下落が止まったときのバリュエーション次第では投資を考えています。
直近で似た形で利益になった銘柄があり、いまの日本ホスピスはジャパンワランティの状況に類似しています。
本決算で目標未達から最高益というコンボをした銘柄にジャパンワランティがあり、私が下落時に投資した銘柄で現在の主力株のひとつです。
ジャパンワランティのときは本決算のときに初めて営業利益が四半期で減益となり、これが嫌気されて売られてから下値でしばらくレンジになっていました。
割安感から私と似たような投資家が遅れて入ってきましたが、1Qの決算がしっかりと増収増益で業績予想どおりだったために株価が一気に上昇しています。
直近で4000円から5200円まで急騰していますが、本決算時に過去最高益でPERが低下していたので現在の株価でもPERは過去の高値程度で際立った割高感はないです。
また、ジャパンワランティの場合は業績の上方修正をしていた銘柄でもあるので、今期も上方修正があれば現在の株価水準は適正となる可能性もあるので期待が先行する状況まで改善しました。
日本ホスピスをどう考えるか?
今回の下落劇は決算での大幅な業績上昇を期待していたフルレバ信用買いが多かったのでしょう。
ここで売らされる人たちは完全に損失だけ被ってくれて、バリューで獲得するチャンスを与えてくれている可能性があります。
日本ホスピスのPERは既に過去最低となっており、1Qでしっかりと過去水準の進捗となる増収増益が確認されれば適正なPERまで買い戻される可能性があり、ジャパンワランティほどではないですが十分に上値は狙えます。
日本ホスピスホールディングス 決算説明資料 |
4Qの減益は管理体制の変更で本部に管理を集中させて事業拡大を加速させるための施策とされており、無秩序に拡大した組織が失敗するケースが経営学で散見されるように本部に集約するのは利益率改善という意味でも期待できます。
その過渡期によって人材のミスマッチやお見合いが起きたりと短期的に問題があったようですが、これが1Qで改善されているかが株価にとって最重要となります。
事業拡大に関してはスギホールディングスと提携しているのでスギ薬局における認知度向上やバリューチェーンの活用、検討段階ではスギ薬局に並列するホスピス施設を考えており他社にない差別化が既に進行している。
まだ関東や愛知以外では展開が少ないため、スギホールディングスとの提携で全国への拡大が可能なら成長性は十分にあるので成長懸念はない。
どちらかと言えば管理体制の強化と提携による新たな事業展開が可能となった現状を見れば、成長性が上がると見るほうが自然で地域医療ネットワーク強化が国策として進んでいる以上、通常の老人ホームより自由度の高い施設は強みと考えることができる。
1Q次第だが割安
スギホールディングスとの提携が2023年6月で、4Qの9月から12月の間で管理体制を刷新しているのは機動的に判断が早いと言える。
ただ、その管理体制の変更と影響の部分を投資家に説明しきれていたか疑問で、分かっていれば過度な利益上昇の期待はされなかっただろう。
ただ4Qが減益とはいえ、当初の進捗率に対して当期利益は95%と大幅な乖離ではないのでS安からさらに安値を掘るには行き過ぎ感がある。
その点はジャパンワランティの方は88%と1割以上下回っていたので日本ホスピスが致命的な悪化をしているとは言い切れない。
四半期で減益になりながらも進捗率に対して近かったので十分に改善できる可能性がある。
最大の懸念点が組織体制変化による問題で、1Qまで業績の悪化が続くと6ヶ月間組織体制が混乱していることになるので冷静に考えると落ち着いているだろうと思える。
管理体制の変更が成長のためであるとされているので、これが成功しないとスギホールディングスとの提携によるシナジーも活かせないので株価評価は1Q次第と言える。
現在のPERは過去最安で成長はこれからであることを考えると割安すぎる評価。
利益率に問題が生じてくるとすると組織拡大における人材獲得面くらいでしょうが、1Qまではこれ以上言及する点はないと思います。