金利低下トレードでショートカバーが色々と巻き込んで株高
債券をショートしている人たちは金利低下イベントがあれば債券の買い戻しを迫られる。
これが最近の長期金利急低下の背景にあるだろう、株式をショートしていた人たちも損切りで買い戻しを繰り返し、オプション提供者もリスクヘッジで株のロングを増やすかもしれない。
少なくとも今週後半の株高は買わせられた人々が一定数いることは前提としておくべきで、金利低下で敗れた人々は撤退する過程で株価を押し上げる燃料になっていく。
FRBの2024年見通しから長期金利をオーバーシュート気味だったので、まず10年金利は4.5%台のファンダ的な位置まで一気に戻った。
この金利の動きこそが株価を急速に高値に戻した理由であり、FRBが間違っていたと市場は再び認識したかもしれない。
ごく最近までは、FRBどおりに2024年はタカ派だから俺たち市場関係者もタカ派でいくぜ!の長期金利上昇への賭けだった。
以前、FRBの2023年見通しについて当ブログで失業率がこんな緩やかに上がる想定なのはあり得ないと書いていた。
2023年は4%を少し超過する程度というのがFRBの見通しだが、既に3.4%から3.9%まで2023年内に上昇している。ここから失業率は悪化してはいけないくらいの状態になった。
しかし、雇用統計のたびに違和感に気づいている人もいると思う。
前回の雇用統計がそこまで悪くなくて、かつ今回もそこまで悪化してないのに失業率上がってない?と。
失業率の0.1%という動きにはかなりの人数が失業しないと動かず、予想に対して大外ししていないのに悪化してくのは不思議なはずだがからくりがある。
直近9回の雇用統計の中で8回は下方修正されている。
毎回数万件という単位で下方修正されており、累積すれば相当な下方修正がされていて株式の下方修正が過去9割くらいで起きていれば市場は死んでいるし企業への信頼は0に等しくなる。
なので、今回の雇用統計はシンプルに悪くて失業率が上がったようにも見えるが、実態としては過去9回の雇用統計のほぼ全部で下方修正が起きていてずっと良くないというのが失業率を悪化させているためリアルタイムのように出てきた数字に価値を感じない。
赤色がVIX、青がSKEW
今回の米株高は完全にショートカバーであり、VIXが下がったから買い戻しというのが本質的で米株のファンダの改善点は金利が下がったから相対的に少し悪材料が減ったというくらいです。
依然として金利は高いし、企業業績は利益を出すために売上成長が低下しレイオフを増やしている。
少なくとも米株はVIXが12に低下するまでは安定して上昇するかもしれない。
同時に、回復した米国株はショートがしやすくなったのでSKEWがVIX低下に対して反比例で上昇しており、SKEWが上がれば目先の株安の可能性が再び上昇する。
雇用統計の悪化は利上げの効果を認識できるため利上げ終了かもしれないから株式へのプレッシャーは減る。
今回の米株決算シーズンはそこまで良い内容がなく、悪い内容の方が相対的に多かった印象で決算内容的に売られる銘柄が相場の勢いで戻しているものも複数あった。
この米株回復で買い向かうことは5%くらいのリターンが取りたいなら機能しそうですが、10月末の底で投資していない人たちが新しく入るタイミングとは全く思えない。
ショートカバーで上がっている状態で新規に買いにいくというのは、納得せずに買っている人と一緒に買うのに等しいので、指数から10%とかのリターンを取るには相応しくない。
ナスダック100は10月の下落分をほぼ取り戻して、残りは1%程度のプラスのみ。
SP500は完全に下落分を取り戻し、NYダウは下落開始前より上昇した。
どの指数も値を戻してしまったのでここからの買い方は指数の最高値更新を目標とすることになる。
私は新しく投資をしようとは全く思わない。出遅れも多数あるだろうが下落に合わせて、上昇に合わさない銘柄を買いたくもない。
利確をしようとは思わないがリスクを取るにしては割に合わない値まで上昇したので保有分だけを考えていこうと思う。