GDPナウが強いから金利は上がった
パウエル議長の景気後退懸念の後退を7月末に話し、そこから金利上昇と一時的な相場の調整が起きていた。
ここで大きなトピックはマザーズ指数の年初来安値だが、金利は上がるし、成長性懸念は少し出てくるし、商いは薄いしでマザーズやグロース市場の買い手がいなかった。
いまもそんなにいないが反発している、これは金利自体が一度ピーク感があり、米金利が上げ止まったので十分にグロース市場は反発できる。
さて、景気後退懸念の後退というFRBの政策が成功あるいは、利上げが効いていないという自らの失態を告白したわけだが、米国経済はまだまだ強い。
日本も年率なら高いGDP成長をしているので、これを実態と合わないと思う人がいると思うが、米国をそう思っている人も多い。
しかし、GDPNowというアトランタ連銀が公表しているデータは景気後退なんて感じさせない。
まず、GDPNowの説明だが、GDPは通常過去のデータに過ぎない、現在つまり将来に特定期間として公表されるGDPの予想値を出しているのがGDPNowであり、これが高いということは経済が良いということだ。景気がどん底というGDPが出たあとにGDPNowが改善していたら気分が明るくなるだろう?そういった役目もあり、いまだと景気後退懸念があったのでデータとしては1%以下の低水準かマイナスなら利下げ予想が加速する。
現在のGDPNowの予想値は6月18日公表のデータで5.8%のプラスである。
GDPが6%近く伸びるのであれば景気後退ではない、米CPIが3%なのに6%もGDPも伸びるならインフレ要因だろう。人々はまだまだ支出できる。
GDPNowの強さが示す将来
Q3の6%成長は米経済の強さを再び宣言するもので、5%の利上げで6%の成長では利上げが効いていないという話になってしまう。
利上げはタイムラグがあるので今回の場合は今年末から来年の3月くらいまでに利上げの効果がちゃんと伝わるはずだ。
なので、さらなる利上げの議論にはまだなっていないが、さらにGDP成長をしてインフレが鈍化しないなら高い金利の維持は少なくとも市場は織り込みにいく。
高い金利の維持=長期金利の上昇となる。
10年金利を想定しよう、今年に5.5%だとして利下げが1年遅れるなら将来の金利が限りなく2%だとしても、5.5%の金利の維持という高さに引っ張られるので10年金利は4.25%という水準まで上がってきた。
さらなる利上げと利下げまでの期間の長期化となれば4.5%はいくだろうか?
10年金利を4.7%という人もいるが、5.5%か少なくとも5%の金利を5年以上続けるという前提になるだろうから、そんなに好景気やインフレが続くとは思えない。
株価が1週間下落するだけで永遠に下落すると思うのが投資家なので、ちゃんと考える人が一定数いれば高い金利で長期債が放置されるわけがない。
今回はパウエル議長の景気後退の後退を肯定するGDPNowのデータや国債周りのごたごたで長期金利が上がっている。
少なくとも1年と2年金利は上にブレイクしていないので、さらなる利上げは織り込んでいない。
いまの問題はさらなる利上げではなく、利下げ時期が先になる、高い経済成長によって見通しに長期見通しに変化があったということだろうか。
中国の問題は経済が冷え込んでいることだが、米国の問題はそれでも経済が強すぎるということだろう。