米国ファンダメンタルズ
少なくないドル資産を持っているので売り払って日本株にチェンジするか、そのまま有望な米企業に投資するか悩んでいますし、投資先の多い米ETFでいかなる状況でも儲かるように情報戦略を練ってもいいですが、まずは米国株のファンダメンタルズをおさらいしよう。
大前提
米国株ということでS&P500を主要指数とします。
まず、米国株の評価をする際には3点の要素が超絶大きな要素としてあります。
①企業業績=EPS
②金融政策
③財政政策
この3点で今後の株価が上がるかは予想が容易です。
逆にEPSが伸びない、金融政策は引き締め、財政政策も緊縮なら株価が上がる理由はないでしょう。
まずEPSですが、残念ながら今年は期待できない
米企業業績、「リセッション」すでに到来-3四半期連続の利益悪化へ
5月の記事なので6月末だと少し世界は変わっており、いま出ている経済指標は良いものもあるが、それでもEPSは期待できない。
EPSが上がらないのに株を買うというのはPERに依存しており、既にSP500のPERが歴史的な低水準な15以下かと言えば…
残念ながら現在は20倍を超えており、平時よりも高い状態であり、PERが株高を肯定することは不可能で、EPSの向上が連続で起きない限りは厳しい。
その次は金融政策で、利下げやQEなどの紙幣増発によりインフレや企業業績向上を期待とした株高で、これは不況下の株高を肯定する強い武器であり、2020年の全世界株安を救ったのは金融政策面が大きい。
この金融政策は引き締め的で、まだFRBのパウエル議長はタカ派を維持しており、年内に2回の利上げを予定している。
金融政策面では残念ながら株高を肯定できない。
最後に財政政策であり、このためにバイデン率いる民主党は債務上限問題へ挑んでいた。
債務上限を増やすことで国債を増発し、財政出動をする。
これは足元ではバイデンの大きな政府下で進んでいるが、コロナ下ほどではなく、かつ金融政策のバックアップがないことや、インフレが進むような財政政策が打てないことで株高を演出するのは無理である。
まず大きな3要素が米国ファンダメンタルズの前に立ちはだかる存在として大きく、これがある中で永続的な株高のスタート!というのは不可能だろう。
投資家は1ヶ月や数ヶ月続いたトレンドを今年はこのままだ!と決めるが、このまま年後半も株高だ!レバナスだ!とするには、年後半に利下げとGDP上昇が同時に起きないと肯定しづらいだろう。
米国のマネーサプライが減少しているから、コロナ前の水準になったら〜などと言う人がいるが、資本主義はマネーサプライが増えることとイコールの主義であり、2020年から本来増えているはずだったマネーサプライを考えると、コロナ前まで到達する以前に景気後退に陥るだろう。
マネーサプライの内訳でも、スマートな増やした層と減らした層もいるはずで、シャドーのかかった時期をマネーサプライの増大等で対策したが、現在はインフレを倒す大義名分でやりすぎている感がありつつも、市場の馬鹿げた期待で◯◯に利下げだ!と勝手に織り込んでは砕け、足元は利下げ期待とAIによる業績期待などの長期サイドに期待しており、2018年あるいは2021年的な大型株主導の楽観と、足元はじわじわ死んでいっている状況が似ているように思えますね。
米国の景気後退を否定する経済指標が多くありますが、利上げや銀行破綻がじわじわと効きだしているならば、気づいたころには実体経済は簡単に回復できるソフトランディングなのかを投資家は注目しているでしょう。
今年の株高はハードランディング→ソフトランディング→ノーランディング
からの利下げ期待、いや利上げ、利上げでも来年は利下げと長期の利下げは織り込んでナスダックが主導した。
ただ、EPSの伸びがない、将来のEPSになり得る売上成長もグロース企業が年平均成長率を引き下げだしており、未来はそう明るくない。
こういった相場では業績がなおも強い銘柄が、指数に対して業績で圧倒する展開になるはずですが、そうとは違い適当な半導体やAIが指数を圧倒する展開で足元も未来も楽観が支配する相場で賢明な投資家も困惑しながら挑んでいるでしょう。