SaaS系に転換している最中のスマートバリューはPSR1倍で同業と比較すれば異次元の割安
SaaS系企業のPSRは低くて2倍、平均的なら4倍以上7倍未満くらいだと思います。
サイボウズはPSR2倍を底値に現在は5倍近くに上昇したので、SaaS系が2倍割れすることは稀な現象なはずです。
スマートバリューはクラウドのプラットフォーム事業を展開する企業で3つの分野で成長投資をしています。
①自治体DX
②自動車DX
③スマートシティ
①は安定した収益が見込める領域で、②と③は経済規模の大きさでスマートバリューのような小さな企業でも成長できる余地がある領域です。
マネックス証券 |
スマートバリューの株価は長期的な下落トレンドであり、ここ1年間は下値400円くらいで反発しています。
しかし、業績自体は2021年の最悪期から23年に急回復しており、黒字化かつ成長フェーズに入ったと判断して良さそうです。
つまり、マクロ経済の悪化はあれど、既に利益が出始めたスマートバリューをPSR1倍で評価するのは市場のミスだろうと思えます。
業績
マネックス証券 |
スマートバリューの業績ですがコロナ禍以降は大幅悪化しています。
前提として、携帯代理店事業を売却しているため、それ分の業績低下がありますが、21年を業績の最悪期として盛り返しています。
良い兆候として、22年度の営業CFは過去最大レベルだったため、成長投資の投資CFがなければ最高益を出すこともできたでしょう。
スマートバリューの将来性
今回はPSRでスマートバリューが割安だと言っていますが、上に書いたように営業CFが既に結果を出しているため、売上だけ増えているPSR低下ではないと結論で、将来性がありそうです。
スマートバリュー 決算説明資料 |
まず足元の状況確認ですが、上に書いた3分野の事業の進捗です。
・自治体DXであるデジタル・ガバメントが増収増益
・自動車系のモビリティサービスが減収増益も受注獲得中
・スマートベニューが投資中で2025年以降の収益獲得へ
という状況で、既に黒字かつ利益成長中の2セグメントと成長投資中の1セグメントという構成。
これから売上成長が加速していくと見れば、直近3年間の売上CAGRが約23%なのは十分な数字
メインと捉えている自治体DXはマイナンバー普及が今年完了すると私は見込んでいるため、機能拡充に合わせてスマートバリューの重要性は高まると予想できます。
ちなみにスマートバリューの事業構成は半分がクラウドサービスなので比率が高まると考えると収益基盤が安定成長に入っています。
また、自治体向けサービスは乗り換えが珍しいと思うので解約率は低いと思います。
スマートバリュー 中期経営計画 |
2023年以降は営業利益ベースで黒字化を達成する見込みであり、黒字化できたか?という結果が次の決算以降で判明する重要なタイミングです。
業績の下方修正がないことから黒字化は確定していると思いますが、24年以降は営業利益が増えだす予定であり、投資を除けば営業CFはコロナ以前より改善する見込みが高いです。
スマートバリュー 中期経営計画 |
主要事業では2025年まで業績予想があり、スマートベニューセグメントへの投資拡大がメインです。
営業利益は右肩上がりにしながら投資をしていく予定なので、デジタル・ガバメントやモビリティサービスの利益成長が重要でしょう。
今回はコロナ禍以降に事業セグメントを大幅に更新したスマートバリューが、クラウドサービスに特化した投資をしており、SaaS系と捉えれば売上と営業利益成長が開始しているので割安成長という評価ができそうです。