Enjinは下方修正を発表したタイミングが悪い
Enjinは3月14日に業績下方修正及び中期経営計画などを発表しました。
決算時期とは別で、わざわざ市場が荒廃しているタイミングで出した理由は謎ですが、先週に発表していればそんなに下げなかったのかなと思います。
売上や利益が2割程度減少した内容ですが、過去に書いたようにここまでPERが下がるなら下方修正は予想していました。
しかし、シリコンバレー銀行破綻からのクレディスイスコンボの間に下方修正してくると思っていなかったので、多くの投資家は悪いの!?いまはそんな企業いらねぇよ!でしょう。
Enjinはウォッチリストにある銘柄でしたが本日は20%超の下落をしており、業績下方修正がなくても下がったところをコンボを繋げにいった感じですね。
業績悪化は戦力となる人材がいない、キャンセルが増えているという極めて厳しいもので、グロース企業は戦略となる人材が足りないという状況は変わらないので、独自の問題ではないですが、キャンセル増加は副次的なものだろうと思います。
Enjinの中期経営計画
Enjinのミッションが社会に役立つ人間の輩出なのでミッションさえ進めていない状況です。
事業は中小、医療機関の事業を支援するというもので私が投資していたスターティアHDに近い感じですね。
業務内容がPR支援なので足元の金融景気不安がダイレクトに影響している感じで、新中期経営計画の内容が大事となってきます。
書かれている採用方針は新卒メインで、育成しながら若い人材でフレッシュ組織を作るというもので、組織の拡大で育成不足や管理不足があるように思えました。
また、昨今は転職ブームなので若手メインだとある程度経つと転職するために離脱が多いことが書かれています。
人員戦略
離脱を減らすための新方針として、25歳〜50歳の中堅人材を多く残すために
①大量採用見直し=上に書いた育成不足の解消
②教育とマネジメントの改善=組織への適応
③社内制度見直し=環境改善、インセンティブ
という3要素であり、今回の業績下方修正の要因へ対応する感じですね。
成長企業は人材の増加が必然なので、Enjinの20%以上の毎年成長は厳しくなると予想できます。教育できる人数の採用に絞っているため、これが成長停滞にダイレクトに繋がります。
ただし、これが成功すれば増収幅は以前より小さくとも、利益率は回復するはずです。
23年4月の入社数は変えられないため、24年と25年の新卒入社が減るようです。
今回の下方修正が起きた採用数と同じなので、現状の改善がどれだけできているか今後の業績で判明するでしょう。
営業が担当するクライアント数が他社の10倍となっており、これは部隊だな…と思いました。
経営の勉強をする際に営業部隊が対応できるクライアント数×1社あたり売上で比較計算したりしますが、10倍はなかなかないですw
顧客層の拡大
現在は中小中堅、医療機関がメイン層ですが、一般的なPRや大企業へ拡大するようです。
新しいサービスと顧客層の拡大で成長を狙うようで、既存の顧客層でも前年比20%超増加しており、リードできる対象を増やすことは期待できますが、現在の人材で効果的でないのに採用を維持してできるかは疑問です。
自己資本比率が81%と高いため、新規の借り入れはせず、メディチョクや戦略的PR事業など新規事業の拡大を狙う方針で、M&Aも合わせて発表しています。
当分は苦しそう
中期経営計画は保守的な感じもしますが、大前提の人材確保と育成が無理そうだなと思えてしまいます。
理由は現在でも社員の離脱が増えていることが効率性の低下に繋がっている状態で、中期経営計画に書いてありますが、離脱が増えて負担が増えるループの懸念。
離脱が増えて中堅人材の負担が増えることで新卒人材の育成が難しくなる点
業績の下方修正があっても売上は増加予定なので、そこを上手く捌けるのか?疑問が残ります。
企業の方針として新卒重視していて、育成することは良いことだと思います。
しかし、規模が拡大したことで、それができる限界がきた感じもします。
業績の下方修正が出てもPERは割安です。
ただ、成長がストップしてしまったため期待での買いは難しいです。
独自のマッチングであるメディチョクは面白いポジションで、医療機関や中小中堅企業が既に1000社以上取引しているのも顧客層の広さで評価できます。
それだけに人材面の不安は非常に大きいなと思いました。