メンバーズとイー・ガーディアンの急落でビビっている
今回の決算跨ぎは今のところだとM&A総研とベネフィット・ワンだけ持ち越しました。
M&A総研は水曜日に成行注文で朝一売りすることを書いていましたけど、ベネフィット・ワンは最近投資したばかりなのと、Netflixなどサブスクを福祉で展開するのは面白いので、ベネフィット・ワン経済圏形成へ向けて保有するつもりです。
ベネフィット・ワンは株主優待が強化され、いままで800株保有が必要だったのが100株のプランに統合されるので優待投資家にも魅力があると思います。
さて、決算跨ぎを避けた企業にイー・ガーディアンとメンバーズがあるんですが、どうやらどちらも大幅下落となりそうです。
イー・ガーディアンは本日15%下落しました。
業績予想ベースのPERは13.6倍に落ち込み、コロナショック時のPERが16倍であり、5年間で現在が最低PERとなっています。
これは下方修正を前提とした株価修正でしか説明ができないので、四半期ごとの業績を見ることで紐解きましょう。
マネックス証券 |
2022年9月期の3Qから増益幅が縮小し、本決算と23年度の1Qどちらも10%の減益
ネット投稿監視や本人認証サービスなどは高い成長を維持していますが、投資により利益が減っています。
増収幅は業績予想通りにいっていますが、利益が減っているので市場からかなりのマイナスインパクトとなっています。
本決算から3四半期連続で営業利益が悪化しているので、このペースだとPERは17倍くらいかなと想定できます。
より悪化することを織り込むと下方修正ならPERは17〜23倍くらいになりそうですが、一気に落ち込む可能性も0ではないです。
ただ、下方修正がなくいけるならPERは極めて割安ですが・・・
まだ1Qなので次の決算次第と言えます。悪いなら2Qには下方修正がくるでしょう。
イー・ガーディアンは2018年度から振り返ると業績の下方修正をしたことはなく、基本的に上方修正してきた控えめな予想を出す企業です。
メンバーズ
PTSで11%下落しているメンバーズですが、下方修正をしているのでS安でもおかしくない。
メンバーズはネットビジネス支援の企業です。
23年度は増収減益となっており、15%の増収は確保していますが、36%の減益とPERにはかなりのマイナスインパクトです。
私はメンバーズのIT内製化支援が気に入っているので投資を考えていましたが、主要事業がだいぶ苦戦しているのでこれからといった印象。
イー・ガーディアンは決算説明資料が出ていませんが、メンバーズは出ているので理由を見てみましょう。
メンバーズの取り組みとしてはデジタル社会を捉えて、デジタルクリエイターを大量に育成することです。
この画像の大企業向けのデジタルビジネス運用支援の専任チームや一番下の開発支援などが気になっている事業です。
デジタルビジネスは短期的には経済リオープンで優先度が下がっており、マクロ経済の悪化で狭い分野のみへの投資に限っているので全体の成長が必要となるメンバーズはやや苦戦。
しかし、デジタル人材が必要というトレンドは変わらないので、メンバーズが注力するDC育成は来年度以降に期待。
売上増は順調にいっていますが、DC確保より顧客獲得が遅れているため、雇い過ぎで稼働率が低下して80%となっています。
人への投資と、その人が生み出す利益がメンバーズの収入源なので稼働率低下は痛い。
これはM&Aキャピタルなど他業種でも起きていた案件で、人材確保をし過ぎている企業が多数出ているようです。
2021年と22年は多くのグロース企業が人を雇いまくったので転職や新卒採用は活発でしたが、下方修正を見るに、戦力化できて案件獲得が上手くマッチするまで高待遇の人材獲得は減少しそうです。
減益の理由がスライドにまとめられています。
メンバーズは稼働率が高い場合は収益率が高い形ですが、新規顧客獲得と同時に進めたことで採算性が悪化していると考えられます。
同業も稼働率が下がっているなら稼働率が改善しても、競争により収益性が低下する可能性があります。
中途採用が上手くいかなかったことで新卒を雇ったことが稼働率低下の要因とされており、これは成長企業が陥りがちな状態です。
減収減益まではいっていないので小さい問題だと思いますが、大きな下落があれば良い投資タイミング
通期決算で稼働率が改善しないと来期以降のさらなる人材拡充局面では増益の期待が持ちづらいです。
たぶんですが、来期は増益予想に持っていくと思うのでメンバーズのライバル企業の動向も見ることである程度は予想が立てられると思います。
下方修正で予想PERは30倍になりました。
過去3年の平均PERが29倍なので現在のPERは平均値。
来期増益がないと良くないPER上昇なので、株価下落でPERが25倍以下にまで低下すれば比較的安心して投資できます。
メンバーズの決算は数字だけ見ると悲惨なものなので株価の2桁下落は間違いないでしょう。
人員数と稼働率の両方が高くなることで増収増益できるビジネスモデルなので、足元の稼働率低下はグリッチにハマっていると言っていいですね。
今回は投資を考えている2社の急落理由を書いていきました。
理由はそれぞれ異なりますが、デジタル領域という成長停滞は当面ない分野で活躍する企業です。
どちらも事業状況を改善できれば収益性が高いビジネスモデルなので良い投資タイミングとも考えられますが、しばらくは同業の決算を見つつ、下落からレンジになるのを待ちます。