脱炭素の早期実現次第では輸出で新興国に勝てるようになる!貿易で有利になる電炉メーカー5選
米通商代表部(USTR)は、鉄鋼・アルミニウムの輸入関税を生産国側の二酸化炭素(CO2)排出量に連動させることを提案している。気候変動に対応し、CO2排出量が多い中国製品などに対抗する狙いがある。同案に詳しい2人の関係者が7日、明らかにした。
提案では、鉄鋼とアルミニウムの生産におけるCO2排出量について基準を設定。基準を超えている国は、排出量の少ない国に輸出する際に高い関税を支払うことになる。
米中対立の過程での提案であることは間違いないですが、インドなど新興国はCo2を大量に排出していても先進国は昔出していたじゃないかと、人口的にそうじゃない笑という暴論を投げかけてくるので、インドや中国などには痛い関税となりそうです。
鉄鋼やアルミニウムを電炉で製造するとコストが問題となりますが、関税が低くなるのであれば話は別で、省エネとセットで脱炭素を他国よりリードできれば日本にとってかなりの強みになります。
これは米国では電炉で鉄鋼などを作っていることにも起因するもので、米国が世界にリードするための提案ではありますが欧州は賛成する構えのようです。
となると日本でも電炉が必須となるので、既に電炉を使っている、あるいは電炉を製造しているメーカーは将来的な設備投資に期待が持てます。
中山製鋼所
日本製鉄系列の電炉メーカー
脱炭素へ向けた電炉需要により、22年3月期は47%増収の200%増益で業績回復、23年3月期は12%増収の76%増益予想で利益が当初想定以上に伸びている業績回復から拡大へ一気にシフトした企業。
この米国の動きは中山製鋼所にかなりのプラスで勢いをさらに加速させる展開となる。
株価は年初で倍以上でコロナ前よりも高い水準ですが脱炭素の動きによる業績拡大により永遠の割安状態。下落があるなら仕込みたい銘柄
PER4.1倍、PBR0.4倍と狂気じみた安さですが日本のバリュー株はこうです。
合同製鐵
こちらも日本製鉄系列の鉄鋼電炉メーカー
リサイクル需要も取り込んでいるため強気になれる材料は中山製鋼所と同じ感じです、鉄鋼などの金属加工は国内では減少傾向ですが、原発再開や新型原発次第では国内でも需要が増やせるため米国の動き以外にも日本が電力料金を抑えることにもっと本気になれば凄まじい割安感のある銘柄
22年3月期は赤字でしたが、23年3月期は17%増収の378%増益とこちらも回復。
当初想定していた上期の営業利益28億円でしたが37億円と上振れ、通期で5億円の上方修正をしていますが受注を見るに上振れ可能性は高い
東京製鐵
国内最大手の電炉メーカー
年初から見ると上2社と違い下落している激安銘柄
業績のプラスを一旦織り込んだ・・・で説明できないほどの好業績です。
22年3月期は90%増収の600%増益、23年3月期は38%増収の20%増益予想。
上方修正されていて上期の進捗率が50%ですが、こちらも米国のニュースなどはプラス要因
業績はリーマンショック以来の状況で売上のみなら過去15年で最高
リーマンショック以降は世界的なゲームチェンジに加え、3.11、民主党政権など地獄の状態でしたが、コロナ以降なら脱炭素はプラス要因、円安はプラス要因、国内での投資増の自民党清和会系の動きはプラスという銘柄で、安倍総理がご存命ならフルベットできる企業。
PER4.6倍、PBR0.8倍、ROE22%、配当3.11%で将来有望という割安株
リスクは日本政府
東京鐵鋼
電炉メーカーの小型株
22年3月期は赤字も、23年3月期は18%増収の1800%増益
これだけの増益でも21年や20年以下の業績で回復途上の企業です。
超高層建築における高強度が強みで、RC構造高層建築物に使用される鉄筋コンクリート用棒鋼やニッチトップの高張力綱を活用した溶接を不要とする異形鉄筋などが主力事業
2Q時点で進捗率が34%であり、上の企業に比べれば高い進捗率ではない企業
大阪製鐵
日本製鉄子会社の電炉メーカー
エレベータレールで世界有数の企業で、ハイエンド化を進めて付加価値を上げている企業
業績は回復途上で22年173%、23年3月期は34%増益とコロナ以前への回復を目指す企業
上方修正済みですが、2Q時点の進捗率が80%を超えている状態。
会社予想を決算発表時に上回り続けた22年の状態なので業績は極めて堅調
世界的な景気後退懸念で回復の遅さにより、他の銘柄と比較して4月高値から30%以上下落、年初来でもマイナスで過去5年の底値圏
中外炉工業
工業炉の国内トップメーカー
水素バーナーの引き合いが強く脱炭素需要から受注残が高まっています。
電熱式処理炉に注力しており熱技術の高さを活用しています。
上にあった企業は電炉による製造が強みの企業ですが、中外炉工業は電炉や脱炭素の技術そのものを有する企業であり、上にある企業たちの業績が上がる場合は中外炉工業の業績にプラスになる可能性が高くここだけ+1で取り上げた企業。
日本製鉄が主要顧客なので最初に取り上げた中山製鋼所は中外炉工業の技術を利用しています。つまり、縁の下の力持ちはこちら・ω・
22年3月期は6%増収220%増益、23年3月期は23%増収14%増益とこちらも電炉メーカーと同じく回復途上、上振れや24年3月期も業績拡大なら円高で日本企業が外に出ていった以来の業績に回復します。つまり、10年前の好業績へ回復できる可能性。
株価的には円高で業績低迷後でも高値3400円を取っているため、現在の1600円は極めて割安。
業績は4Q=通期に集中するため途中の業績はあまり関係ないのが難しい銘柄。
さあ、今回は米国の脱炭素化へ向けた輸入関税をめぐる動きから利益のある電炉関係の銘柄を取り上げました。
脱炭素を背景に電炉関連は業績が回復しているため、23年の世界景気後退をリスクとしながらも中外炉工業は比較的安心感があります。
それ以外で考えても他国と戦うためには電炉+脱炭素が必須なので、国内の電力料金が安くなればかなりの競争力になるんですが・・・という感じ。