【ERPサービス大手】コロナ禍で成長できなかったオロはアフターコロナで返り咲くか?クラウドERP編
コロナ禍で業績を伸ばしていたITセクターで、業務支援ソフトを手掛けるオロの業績は停滞し、株価が魅力的な水準まで落ちてきました。
オロが提供しているERPサービスの仕組みを見てから、業績や株価指標を見てみます。
ERPサービスとは
ERP=Enterprise Resource Planning
企業資源計画と訳されるもので、企業の会計、人事、生産、物流、販売などの業務の基幹となる総合基幹業務システムか、簡単に言えば基幹システムです。
ERPが基幹システムと違う点は、その企業のデータを一元管理する統合データベース的でもある点です。
情報を一元管理できるのでデータドリブンな経営が求められる昨今では必須なサービスですね。
ERPのライバルとしてはマネーフォワードやジョブマネなどが日本ではあります。基本的にITを手掛ける大企業は製品ラインナップを持っているので競争は多いです。
オロの業績推移
銘柄スカウター |
四半期ごとの業績を見ると不安定だなという印象があります
影響が出だしたであろう20年6月の2Qから横ばいかマイナスもあります。
コロナ禍から低成長→マイナス→0成長と苦戦が続き、21年9月の3Qは前年の大幅マイナスから業績が大きく見えます。
しかし、足元では21年3月の21年から業績は緩やかな右肩上がりで持ち直した印象です。
銘柄スカウター |
キャッシュフローの推移を見てみると営業CFは増加しており、基盤となるERP展開が順調であることを示していますね。
営業CFがプラスで、投資と財務CFがマイナスな企業は成長投資が上手く循環するのでクリアです。
右肩上がりで増えているのが財務CFなので普通に考えると配当増加や借入金の返済で、投資CFの少なさは気になります。
とはいえ、オロは予想PER18倍、PBR4.4倍と同業他社と比較しても割安感があり、2桁程度のグロースが帰ってくるならPER25倍程度は夢見れます。
2Q 決算説明資料 |
業績が弱く見えているのはIFRS変更による影響もあるようです。
オロのクラウド事業
オロの主要事業はクラウドとDXで大きく分けられているようで、クラウド4:DX6程度の業績です。
2Q決算説明資料 |
クラウド事業の主要収益は保守やSaaSモデルのパッシブで利益が入ってくる仕組みで非常に安定しています。
また、ERPは乗り換えコストが膨大なのでオロが問題を起こさない限りは一斉に離れるリスクはないと想定できます。
ZACというのはオロの主力のクラウドERPサービスで、その導入やカスタマイズの収益が増減激しい感じです。
https://www.oro.com/zac/ |
ZACは21年時点で850社が導入しているクラウドERPで士業やシステム業、IT業、クリエイティブ業、イベント業、コンサル業など経済再開でメリットがあるセクターが含まれている印象です。
特にクリエイティブやイベント、コンサルは不足しており、その効率化を狙えるサービスは需要がありそうです。
対象を見れば分かると思いますが、中小企業への展開をしており、さらに小規模なスタートアップ向けのReforma PSAも展開。
新規契約が積み上がっており、主要サービスのZACのいわば受注が増えています。
コロナ禍では横ばいか減少と日経平均株価みたいな状態でしたが、21年4Qから右肩上がりとなっており、これは将来の収益に非常に魅力的な状態です。
クラウドERPは新規顧客獲得ができれば保守、SaaSで利益が後からのっかるため、広告費の増加は別にOKという認識です。
ZACの導入企業
セコムやKDDIなど大手企業の子会社も利用しています。
カヤックや昨年IPOしたネオマーケティングなど200名以下の事業体が多い印象です。
ただ、導入事例の人気順で見てみると、JALや住友林業など大きい事業体の事例が見られているようです。
Reforma PSAの導入事例
より小規模なスタートアップ向けERPでは既に350社を超えています。
ライバルのジョブマネは30人未満の企業向けを主力としていますが、こちらの事例を見るにReforma PSAも同規模の企業を対象としており、10人程度の企業でも導入しています。
Reforma PSAを導入している企業を見るとコンサルや広告、クリエイティブが多く、付加価値の高い業界の新興企業で使われているようですね。
Reforma PSAの利点は比較サイトを見る限りは以下がメリットなようです
案件後になる前に損益を把握でき、業務効率化を図れるという機能
特にクリエイティブや広告、士業は雑務とも言える業務が多いため、ERPサービスとの相性が良く導入が拡がっています。
機能的にはZACを上の業種に合わせて絞ることで利用のハードルを下げた形のようです。
今回は前編として回復傾向のように見えるオロを取り上げました!
株価指標から見れば割安で、対象としているセクターが今後も伸びる業界なのでライバルの動向も見つつ、ERPサービスの投資を積極的に行えば伸びる余地は十分にあるように思います。