日米ともに長期債への需給改善期待が出てきた
日米ともに超長期債が上がっていて問題になっていましたが、反対に考えると超長期債はもっとも投資先として妙味があって分散投資としては魅力的です。
超長期債は国債の中では歴史が浅いものが多いので金利の幅が大きく、また投資する大口投資家は含み損状態なので魅力的なだけでは買えない状況が続いていました。
日本の30年金利は一時3.2%まで上がっており、現在の定期預金の金利が0.3〜1%くらいなのを考えると動かさない預金なら超長期債の方が家計にとって魅力的でしょう。
30年金利は年初が2.2%程度だったので半年足らずで1%上昇しているので直近は問題視されていました。
この3%という数字は21世紀に入ってからだと上限的な水準で、個人的には日本の30年金利が3.2%は超魅力的でした。
だって、潜在成長率が0.5%の内需デフレ国なので…
ベッセント氏、米国債取引巡る銀行規制の緩和示唆-SLR見直し
銀行の自己資本規制の一つであるSLRから国債が除外されれば、銀行は中核的自己資本比率に影響を与えずに、より多くの国債を購入できる。
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ベッセント氏は、市場の動向について「特に心配していない」とし、国債利回りの上昇は日英独などでも見られる「世界的な現象だ」と述べた。
少なくとも米政府側は金利低下を望んでおり、銀行規制で国債を買えるなら金利が魅力的なものからイールドカーブに沿って買われるでしょうから超長期債が一定買われることで金利低下=価格上昇が期待できそうです。
日本から米債20年超のETFを買えば投資できるので、日本の超長期債と金利差が縮まるなら円高で為替ヘッジあり、金利差は縮まらないor拡大なら円安継続で為替ヘッジなしでいけると思います。
【日本市況】超長期金利の低下加速、発行減額観測-円相場は下落転換
40年、30年国債利回りはともに一時20bp(bp、1bp=0.01%)以上も低下した。金利上昇は行き過ぎだとの見方が広がる中、財務省が例年6月に開く国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合に向けて発行減額観測が浮上、金利低下幅が拡大した。
アメリカで緩和示唆が出てきてから日本でも類友な内容が出てきたので日米はコントロールできない超長期金利で協調しているように見えます。
超長期債は結局は需給次第で、放っておいたから現在の高金利状態なので改善するなら十分に投資先として魅力があります。
20年債も比較的楽観できる内容なので20年超の金利上昇は一旦はピークを打ったかんじでしょう。
第一生命ホールディングス(HD)の菊田徹也社長は足元の国内超長期金利について、需給の緩みによって「オーバーシュートしている」と述べ、行き過ぎた水準にあるとの認識を示した。日本の経済実態を踏まえれば、年末ごろまでには落ち着くとみている。
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超長期金利の上昇は、主要な買い手である生保の多くで新たな資本規制対応のために積み増してきた積極的な買いが終了段階にあり、買い手が減少している上、財政拡大懸念なども加わり、買いが手控えられていることが要因だ。そのため、菊田社長は超長期国債の需要がなければ発行額が調整されるというケースもあり得るとの見方を示した。
超長期債と言えば生保ですが、含み損ばかり報道されていますが減損処理までは問題ないとし、現在の高金利は魅力的としている。
日米ともに財政拡大への懸念というか、そもそも資本規制的に限界感があるのでアメリカが規制緩和、日本が発行減額という需給の対応になっていますしデュレーションが長いところをコントロールするには時間がかかるでしょう。
債券プレイヤーは株と違ってスマートマネー主体なので良くも悪くも簡単に改善しない。
中央銀行がQEなどで強制的に改善させれば金利はもちろん低下しますが、そのときには株価は一時的にクラッシュしているので保険として超長期債は利回りでもリターンでも魅力的な水準に思えます。
再び財政懸念やトリプル安相場になれば超長期債は株式のリスクヘッジにならないのは問題で、同時に下落するなら反発が大きい株式がいいので超長期債をポートフォリオに入れるならまだ様子を見たいですね。
少なくとも日米ともに需給を改善しようと動いているので期待はできます。