日銀の政策だとGDPが弱る
企業業績の下方修正が相次ぎ、政府は景気刺激のために追加の財政出動を行う予定の国の中央銀行が利上げしている。
日本に住んでいると政策面でパラレルワールドにいる気分になることが多いが、日銀は利上げを2024年から明らかに急いでいる。
2024年度のGDP成長率は+0.2%に留まり、こちらも当初より下方修正されている。
日本の潜在成長率は0.6%とされているので0.2%成長は日銀からすれば利上げできる根拠とはならないが、日銀は物価安定のために動くため、しばしば経済悪化を見ながら同時に利上げしていく動きをしてしまう。
GDP成長なしで株価はそこまで上がらない
国内総生産がGDPなので生産の主体たる企業の成長こそがGDPであり、日銀がこれを無視して利上げするなら投資家はもちろん逃げる。
冒頭に書いたように、企業業績が悪化しだした状態で(連続はまだしていない)、石破政権が22兆円規模の経済対策をしての利上げは経済を進めたいのか冷ましたいのか分からず、物価のために金利を上げる場合は景気を冷ましたいと受け取ることができる。
日本はアベノミクスと消費税増税、保険料の増加などアクセルとブレーキを同時に踏むことで部分的に弱くしながら景気拡大を目指すので国民の不満が溜まってきた。
少なくとも政府がお金を回してくれるのはGDP的にありだが、もっと重要なのは企業が投資をすることであり、労働集約型産業の多い日本で賃上げと業績拡大を同時にやるのは難しく、アメリカのようにレイオフと賃上げみたいな人手を削りながら成長する経済でない限りは賃上げ負担が重いので企業は動きが硬直的になる。
日本企業が賃上げと研究投資を同時にやれば、前期比ではどうしても減益か横ばいになってしまう。投資回収から増益になるまでの期間は外部要因リスクに晒されるので投資しづらい。
企業に投資拡大をしてもらわないとGDPの持続的成長は難しく、AI周りくらいしか国内でまともな大規模投資を引き付ける産業がないのが問題で、自動車などはグローバル化で国内での追加は限定的でAIの本命である半導体・データセンターへの投資をどこまで伸ばせるか?
日銀は利上げをどこまで我慢できるか?
日銀は12月か1月に利上げするのがコンセンサスになっており、12月に利上げしなければ1月に利上げすることになる。
企業業績の停滞から今年度のGDP成長に上方修正があるとは思えない。
賃上げによって今年度の業績が停滞した企業は値上げかコスト管理以外に増益の道がなく、来年の賃上げをできる企業がそこまであるのか疑問で、賃上げの価格転嫁がOKなので賃上げが続けば値上げが続く米国型経済になりつつある。
これは逆に言えば、賃上げできていない企業に属していれば周りが賃上げ→値上げしていく流れに追いつかないので不満が溜まっていく。
日銀の利上げはそういった面では、利上げによって企業の投資意欲が低下して全体の賃上げが減りそうなので、利上げがGDPと成長を殺して下方への平等に向かう点は評価できるかもしれない。
日銀はGDP的側面では利上げの根拠が乏しく、物価的側面でも10月CPIが2.3%の伸びとなっているが、米騒動で58%も高騰した米が押し上げたり、世界的に上がっているチョコレートやオレンジジュースなどの価格も上昇している。
国内起因での上昇があまり見えず、通貨防衛のための利上げという手段になってしまっている。
利上げで通貨防衛するのはドルに金利を合わせないと資金が逃げて困る国がやることで、アメリカが強ければ最近のユーロドルのようにドルに敵わない。
日銀の利上げが物価をメインとしているのが問題で、景気悪化で物価が下がりだしてから利上げを停止したり、利下げしても日本の場合は再びインフレに戻る保証が全くない。
日銀が数ヶ月以内に利上げするのは確定的だが、その間に経済は拡大していかないと株価が綱引き状態でレンジを抜けてくれない。
少なくとも資金需要が減っているのでGDPの上振れには期待できないでしょう。