国民民主党の玉木代表が日銀に半年利上げするべきではないという提案は正しい
大注目の国民民主党の玉木代表が要人発言として、昨日の夕方に半年間は日銀が利上げするべきではないとSNSに流れて、全体的には否定的な意見が多い印象です。
ですが、日本の事情からすれば利上げを隔月とかでやるべきではないので過去のデータも含めて考えていきましょう。
日銀が利上げするなら時間をかけるべき
実質賃金が上がる、為替や資源高なしで商品価格が上がる等=国内からのインフレ圧力こそが金利上昇をさせる状況であり、日本は国外からの動きがメインでインフレ圧力を受けている。
結局ですが、円安は米国の利下げペースにのみ左右されており、為替介入も、直近の利上げも意味がなかった。アメリカ次第の円安からの脱却には日本が実質金利をプラスにもっていく3%の利上げが必要になるだろう。
日銀の植田総裁の時間的余裕があるとか、データ次第とは2つの対象を指していると勝手に認識していて、時間をかければアメリカはペースはどうであれ利下げする。
アメリカの中立金利が上がるかもしれないし、長期の金利ターゲットが上方向になれば利下げ回数は少ないが、ここはブレるので時間しか解決法がない。
また、利上げでインフレが解決するみたいな魔法のように日本人が勝手に妄想しているが、世界各国でインフレ等の経済情勢による政権交代や新たな連立政権の誕生を促しているように利上げでインフレが鎮静した国がほぼない、中国みたいに統制したり、内部経済が完全に終わっていればインフレはしなかった。
もう一つのデータは日本は失業率で金融政策を決めていないので、賃金の上昇ペースと国内のGDP需給ギャップなどの国内経済をもとにした先行き見通しに基づく判断で、ここがデータ次第の決定になると思う。
日本のインフレ率は4%安定はしないだろうし、ここからの円安急進行でドル円170円を突破しなければ全体的な外的インフレ要因は少なくなる、戦争だとかサプライチェーン問題の方がよっぽどインフレに関係するし、日本企業はインフレ転嫁が遅いので利上げしても半年間は値上げが続いていくだろう。
データ次第の部分は利上げペース加速には、
実質賃金が継続的に、毎月プラスになるか?
日本国内の供給より需要が増えるか?
ディマンドプルなインフレとは上の2つがメインで、アメリカはこれが酷いから高い金利が長く続いている。
日本が利上げを加速するには同様の現象が必要だろう。
中小企業のことを考えれば利上げできない
企業は債務をして事業を行うのは通常で、利上げは債務負担を必ず増加させる。
日銀が利上げしたことで銀行は金利上昇の交渉を各企業と開始しており、これは中小企業からスタートアップでも同様だ。
その上で国内は人材不足が続いているので、賃金を上げないといけない。
自民党は所得上昇のために減税をする気がないので、主体としては企業が賃上げしないといけない、どの政党も賃上げを言うが、現行制度だけの追加減税なしの賃上げなら負担は企業が大部分をかぶる。簡単に解雇できない日本で賃上げ継続は大手しか現実的じゃない。
中小企業は人材不足で賃上げor設備投資で効率化&自動化の圧力に押されており、
インフレ率はすぐに下がらないのはアメリカを見ていれば分かるので、日本はアメリカに半年から1年はインフレ転嫁が遅効したのでインフレ鈍化も遅れるだろう、インフレで中小企業の負担は当然増えている。
さらに利上げを短期で継続すれば、金利はさらに上がるからと銀行は中小企業に金利上昇の交渉を続けるか、リスクリワードから貸出しなくなる。
中小企業にとって利上げは最適な手とは思えない、やるなら政府が補助金を出して、賃上げには上昇分の100%の減税、債務負担には一部政府が負担して金利上昇分を負担するなどやらないと倒産はさらに増える。増えてもいいのだが、気にするので日本の政策は動かない。
過去の日銀の動きから
利上げがカンフル剤になるかどうかは世界を見ていれば否定的で時間がかかる、抑止力にはなるし、利上げすることで最終的に景気が冷えるので、利上げ後に急激な利下げをしてきたのが歴史であり、日銀の一つ前の利上げは2006年7月でリーマン前の急激な資源高でガソリンや電気代が上がったときで、このときは次の利上げが2007年2月と半年かかっている。
玉木代表の半年間の利下げはすべきではないは、このときの経験もあるだろう。
日銀が利上げを急いでもアメリカ次第でほぼ無意味で短期的効果しかない、植田総裁は2006年からの利上げ当時は金融引き締めに否定的なスタンスを取っている。
なぜ植田総裁が牽制などをしているかと言えば、今回は円安進行を止めるミッションがあるからだろうと思うので、利上げを匂わせるなどの牽制を常にしている印象です。
市場との対話が下手なように見えますが、利上げなしと見られれば投機筋が仕掛けてくるので拙速な利上げはしないが、時間的余裕を上手に使って回避しているように思います。
いますぐインフレや円安をどうにかしてほしい人には遅い対応に見えるでしょうが、全体を考えれば利上げペースに時間がかかるのは日本だと特にしょうがない面があります。
リーマン後の歴史は利上げ後に動きが遅れた日銀によってかなりの円高になり、国内から多くの輸出産業が出ていき、半導体企業は円高進行の赤字などで外資に買収されたり(円安で業績回復)と、後手後手だった。
インフレで苦しい人々も多いだろうが、長期的に見ればここで拙速な利上げをしてデフレ脱却の機会を潰す方が問題がある。