中国株が上がっている理由
中国株の日本上場ETFが狂った上昇をしているのでSNSでは、私が書いたのに遅れてようやく話題になってきました。
中国株だけが弱かった2021年から最近まで
2021年後半から世界は利上げに踏み切っていました。
ただ、特定の2ヶ国に関しては利上げができる状態ではないと言われており、それが日本と中国でした。
中国は不動産規制を始めに、資本主義から社会主義色の強い政策を強行していたので株価がずっと低迷し、ほぼデフレ状態を世界で唯一達成していました。
日本はインフレが遅れて上がっていきましたが、2024年まで利上げを遅らせましたし、実質金利で見れば金融緩和状態なので株価は高値を更新していました。
これは凄く重要な点で、利上げができないと言われた2国で真逆の政策をしていた差が以下の比較です。
5年前なのでコロナ以前からになってしまいますが、5年間で片方がマイナス12%、片方が+80%なら勝敗は明白です。元に対しても円安なので通貨価値を含めれば結果は縮小しますが…
日中の主要指数の差が明確につき始めたのは2021年後半、世界の利上げが進んでいく状況で拡大が始まっています。
中国では有名人がよく分からない理由で活動規制されたり、セレブリティーを叩き、不動産も叩き、国内経済は疲弊していき、若者失業率はどんどん上がり、世界に反してほぼデフレ状態と資本主義を否定する政策で世界の投資家が中国株を忌避していました。
中国は経済が疲弊していく中で金融緩和しなかったので結果として金融引き締め状態で、
日本は経済はそこまで強くない中で金融緩和から引き締めまで時間をかけたので結果として金融緩和状態でした。
中国の内需はやや悲惨的で若者失業率が物語っていますが、外需で言えば電化製品やEVを価格競争で外国に売りまくることで、設備投資や一定の雇用を確保していたので外需依存が最近は露骨でした。
中国株の反転の理由
2021年以降の中国の政策を見ていた人は社会主義色を強めている中国へ難色を示しており、中国株を買う理由はとにかくバリュエーションが低いことでした。
今は亡きチャーリー・マンガーも亡くなる前に中国株の割安さを指摘しており、バリュエーションによってロングもショートもするマイケル・バーリは中国株がポートフォリオの半分を占めるなど、バリュエーション派の投資家は中国株の異常な安さを指摘していました。
世界の投資家は割安さは認識していましたが、GDPの大きなウェイトを占める不動産市場が改善しない、失業率は高い、金融政策はほぼデフレにしては金融引き締め的と株式には最低の状況でした。最近までは…
中国株反転の理由は金融緩和からの追加政策期待です。
下げを主導してきた不動産への締付けを緩和、利下げ、政府ファンドで株式を買い支える。
日本は不動産バブル崩壊からの回復に失敗しました。中国は需要以上に不動産を供給しているので助かるかまだ疑問ですが、金融政策の初動は歓迎されています。
2021年〜最近の中国政府の経済を助ける気のない政策を見てきた人たちなら、金融緩和だけでも中国株に期待できるのは仕方ないです。
社会主義色を強めていた国に、かなり緩和的な資本主義的政策がやってきたので資本主義のリスクテイカーが素早く反応しているわけです。
問題は本質的には社会主義な中国が国内で発生するバブルをどこまで放置できるかで、上がりすぎれば叩いてくる可能性が残っています。
ここからの経済政策が重要!何兆元出せるか?
習近平は過去の発言からすると大規模な財政出動に否定的で、財政規律を意識しています。
なので、GDP比で絞って、大きな財政出動をしてこないリスクがあります。
現在の中国のリスクは地方政権などにも不動産発の債務処理が残っていることで、この処理のために長期債を発行して対応するなどの債務処理をどうするか?などもあり、
中国の住宅余剰は問題で、買える人にもっと買ってもらう必要があり、日本の不動産バブルと異なるのは住宅そのものが多く余っている点でしょう。
過剰供給によって、不動産開発会社は1部屋買ったらもう1部屋つけるなどの投げ売りをするレベルの混乱が酷いときにはありました。
中国経済の低迷は直近まで回復の兆しもなく、外需頼りだったので内需向けの経済政策に注目で、試算だと10兆元=200兆円の財政出動はできるとされており、不況なら100兆円以上は必要だろうと思えるので200兆円は債務処理と刺激策の両方に使うならあり得る規模と考えられます。
中国がなぜ金融緩和に転換したかの推察
中国が外需頼りだったのは中国EVが欧米でシェアを拡大していたりと、薄っすらとニュースで読み取ることができ、内需の悪化はあるけど総合すれば大丈夫なんだろうという感じでした。
しかし、欧州では中国への関税強化の流れが進んでいます。
EU 中国から輸入のEV 最大35.3%関税上乗せを決定 交渉は継続
欧米は今のところは協調して中国へ関税強化などをしており、溢れる中国EVの行先がなくなってしまいます。
現状の関税強化の流れだけなら大丈夫ですが、トランプ政権になると欧州も日本もやりづらい中国向けの政策をしてくるでしょう。
中国政府も外需の状況が変わっているのは認識しているので、内需の本丸である不動産へテコ入れするような規制緩和へ動いており、株式買い支えなどリスクマネーを増やそうと資本主義的な政策を進めているので経済状況は依然として悪いですが、経済政策もさらなる拡大路線になるかに注目されています。
最近出てきた金融政策だけで株式が上がり続けるのは現実的ではなく、中国の住宅市況の回復や内需の再拡大、世界のインフレが落ち着いていきそうな中でほぼデフレ状態から回復できるか?が本格的な上昇には必要だと思えます。逆に経済がずっと回復しない中でとんでもない金融緩和をしてバブルになるという別問題になる可能性もありますが…
中国のデフレスパイラル、危険な新局面入り-早期の措置が必要にも
金持ち叩きなどをしていた中国が資本家が喜ぶような政策に転換したのは不気味で、先行き経済のためにはなりふり構う余裕がなくなりつつあるのでしょう。
日本化を避けたいのであれば、かつて日本がやった刺激策以上の大規模な緩和と財政出動が必要なので、大量の国債増発が起きるのでは?と思っています。
中国株に継続して賭けるなら、世界が驚くような金融緩和と財政出動を中国政府が行う必要があります。