低PER×PBRの利益の出し方
低PBR株が注目されており、業績が何とかなっている企業なら多くが1倍の大台を達成している。
これからはやや低PBRで相当低PERの企業にチャンスだと思っていて、計算の仕方を書いていこうと思います。
低PERは低PBRを加速する
低PBRの是正とROE向上を東証は求めているので成長性皆無企業でも株価を上げるためにPBR改善を方針として示している。
PBR改善には複数方法がありますが、もっとも効くのは増配で配当性向を50%以上にする、あるいはDOEという資本に対する配当を出すことでとにかく配当を出すことで配当利回りが市場で目立って高いなら買われる。その後がどうであっても…
上の方法を除くなら低PER株が安心安全で長期上昇に期待ができる。
例えばPBR0.8倍の企業があるとします、企業の資産が1250円で株価は1000円という状態。
この企業のPERが8倍で、来期増益の期待があるとします。来期は10%増益とします。
1000円÷8=125円がEPSです。来期は137円のEPSになる予想です。
配当性向は30%として、125×0.3=37円となり、配当利回りは3.7%です。
PER8倍でPBR0.8倍で配当利回り3.7%くらいの銘柄なら市場にありますし、来期増益10%も不可能な次元ではないです。これでも株価は上がります。
配当性向が30%なので、残りの70%は企業に残ります。最終利益なので87円は企業の資産価値に含まれるため上の1250円は本決算後に1337円に増加しているはずです。
これを現金として置いておく企業は狂っていますが、基本的な企業は残った資金を事業の投資に使うはずで、これでM&Aしても問題はないです。
現金ならインフレで目減りしますが、例えば買収した企業の価値が上がったり、不動産の価値が上がっているならPBRは下がるはずで、事業に投資して利益が増えるならPERが低下し、さらに企業に蓄積される資本が増えるので低PBRは加速するはずです。
残った利益を減らさずに来期も増益するとして、10%増益も含めた来期の状況は以下です。
PBR0.75倍、PER 7.2倍、配当利回り4.1%
41円が配当で、95円が蓄積される資本となります。
上と同じでそのまま残るなら1432円が資産となります。
株価はずっと1000円という設定ですが、仮にPBR1倍までいくなら1400円まで上がるので40%の上昇となります。
この計算は今期と来期で計算していますが、低PBRで低PERなら配当性向が高くない場合は企業の内在価値が上がるのでOK、例えば配当性向が50%になるなら。
1000円で投資し、来期に配当性向が50%になるなら68円の配当がでるので配当利回りは6.8%で配当利回りが4%になるまでは買われるとすれば株価は約2倍まで上昇する計算になります。
低PERで増益ができる限りは配当性向が低い=資産が増えるはず、あるいは成長?下手くそな経営者なら待ってはダメですが、例えば配当性向50%にして、残りの50%の使い道を中期経営計画などで示すなどの資本政策を出しているなら当然ありです。
意味もなく配当性向30%にして、投資もたいしてしないなら内在価値は上がるので上のような評価軌道になるでしょう。
企業が投資してPBRが下がることは基本的にありませんが、投資しても資産は増えず、利益だけ増えるとしてもROEやROICは上昇するのでPERが下がる→株価が上がる→PBRが上がるという脱PBRの道になるので低PERと低PBRであれば致命的な経営以外では買えるはずです。
買いづらいのは低PBRだけどPERが20倍の業績が良くない気味の企業で、株価1000円ならEPSが50円で、配当性向50%としても配当利回りが2.5%、残りの25円が蓄積されても内在価値は上の企業ほど増えないという形で放置される理由になります。
上で書きましたが企業は配当性向以外の累積される資本を事業投資やM&A、あるいは自社株買いなどに使います。
ただ、キャッシュフローという概念で考えると最終利益の前段階で事業投資や研究開発はできるので企業が何に投資しているかの把握は必須です。
その上で、株主還元以外の資本の使い道を示している低PERで低PBRの企業があり、増収増益の可能性が高いのなら投資先としては有力でしょう。
営業CFと投資CFがプラスで事業拡大がしっかりできており、株主還元後の資本でM&Aもすると宣言しているなら業績拡大に期待ができます。本業も伸びているかは要チェック。
この投資が上手くいっていないとキャッシュフローの方が悪化し、利益率が悪化していくので衰退となり、PBRはすぐには減少しませんが出遅れた企業の足掻きは業績悪化を招くので、配当の原資の利益が減り株価下落、低PBR化しても業績悪化でPERも高いので配当性向を引き上げると投資不足で衰退が止まらなくなります。
これがバリュートラップの1形態であり、東証の政策に反して市場に残された低PBR株たちです。