【実際の分析例】決算後の動きを冷静に見極める
長期投資をすると決めたのなら決算で20%安のような急落をくらうことは避けれないと思ってください。
決算とは前後で多くの思惑が動くので、今回は色々なケースを考えて書いていきます。
先日書いたジャパニアスへの失望記事は決算が悪く出たパターンなので今回も軽く触れます。
決算前後の動きとは?
まず決算は上場企業なら公に年4回発表するもので、1Q、2Q、3Q、本決算となっており、企業の決算期は本決算のタイミングです。
決算で株価が大きく動くのは色々と要因がありますが、次の決算に期待しているという意味で決算に向けて上昇するパターンや、相場や同業の結果がやばめで決算直前に軽い急落をするパターンなど反応は様々あります。
楽に越えるのが難しいのは決算前の1ヶ月で10%以上上がっているパターンで、これは確実に決算期待が入っているので決算で調整する下落をする確率は結構高く、コンセンサス予想程度は先に入っているので、より強い内容、増配、あるいは自社株買いのようなオプションを求めている投資家が多いです。
決算前に上がりすぎている銘柄に関しては一部を利確するのも生存戦略的にはありで、長期投資であるなら1回の決算に期待して投資するべきではないです。
決算の反応パターンまとめ
期待高い→期待以上の好決算→翌日上昇
期待高い→期待並み→2桁以下の小幅安
期待高い→期待以下→急落(S安)
期待普通→期待以上の好決算→急上昇
期待普通→期待並み→相場次第で±3%以内に収まりがち
期待普通→期待以下→2桁下落するかどうか
期待低い→期待以上→S高(業績転換で連発も)
期待低い→期待並み→上昇
期待低い→期待以下→小幅安(黒字→赤字なら大きく反応)
期待が高いから低いまでの3種類と、結果が期待を超えたかどうか?でパターン分けしました。
期待が高い銘柄は決算前にその銘柄の数年の平均PER以上や高値で決算を迎えるパターン
期待普通はPERが特段跳ねることなく平均より少し低い状態で決算
期待弱いはPER関係なく株価チャートが決算を全く見ていない銘柄
業績と決算を乖離させる方法として、弱い決算だけど自社株買いや増配など株主還元で一時的だと強調する方法です。企業としては本来の目標どおりに経営するのが基本でコミットなので短期で持ち直すということを示す場合もあります。
逆に、業績の上方修正がある前提で期待の記事などに取り上げられていた銘柄は、上方修正があっても増配が足りない、株主還元が弱いと結構売られます。
上方修正したけど売られた銘柄で一番いい買い方は急反発しないなら、少し様子見をして相場全体が下落するタイミングで買うのが一番いいです。上方修正でPERが下がっているのに下落にも巻き込まれた低いPERとなり、来期期待が入るまで持っているだけで再評価で短期20-40%くらいあり得ます。
決算後の動き方(上方修正)
決算を持ち越した銘柄をどうするかは投資家次第だと思いますが、相場次第ではギャップを使って簡単に儲けることもできますし、上方修正があったのに株価が冴えない銘柄は買いの対象として監視した方がいいでしょう。
全体の下落に上方修正銘柄がともに下落してしまう場合、その銘柄は買った方がいいです。
株価でなくPERを見ておけば、うん?チャートは上がっているけど全然安いぞ!で安心して買えます。
銘柄スカウター |
この銘柄は最近私が短期倍を達成したさくらKCSで3月中頃に買った銘柄です。
赤色がPER、青色が株価です。
23年10月末に業績上方修正をしており、そこから株価は20%近く上がっていました、
3月に見た時点で上方修正前のPER15倍を下回る14倍であり、本決算に向けてPER上は下落余地がなく、データセンターと低PBRという材料の強さで買っていたら、たまたま短期で倍になりました。
この銘柄への投資の決め手は複数ありますが、決算で上方修正している銘柄である、その上方修正前よりPER評価が低いというのは私の基準の一つです。
銘柄スカウター |
こちらは最近新規投資した朝日工業という空調銘柄です。
2月に業績上方修正していますが株価が対して上がらず、赤色のPERが平均より低い位置にあったので買いました。
この銘柄への期待として、再び決算へ向けて株価がPERに従って上がるなら20%以上の上昇期待があるので、来期の業績が上方向なだけでも上がるし、期待が入るだけでも上がるので割安という判断です。
上方修正があった銘柄に対しては、PERが同じ倍率までいく最高の期待はせず、その手前まで上がってどれくらいのリターンか?下落余地はどうか考えると株価的にはそこまで下落していなくても、PER的に割安という買い判断ができ、同じデータセンターという材料がある銘柄なので再び材料期待で上がりやすいとなれば相場によって下がるのはチャンス。
上の朝日工業に似た形ではジャパンフーズも最近の上方修正から株価下落しており、PER的には10.8倍→7.8倍と大きく落ちています。
増配を本決算で決めるようなので上方修正に合わせた増配がなかったのが原因かな?と思っていますが、本決算での増配が決まっているようなものなので期待で買えるし、実際に増配があれば買われるでしょう。
低PBRでもあるので増配という改善方法はもっともシンプルに考えられる。
上の3つの銘柄に関しては上方修正をした銘柄を泳がせておいて、配当権利落ちや相場全体が弱いときにしっかりと拾う方法です。
すぐに反応してもいいのですが、上方修正をして上がるというのは朝日工業とジャパンフーズに共通するように決算前にPERが既に上昇傾向にあるので、人気銘柄やテーマ株でないなら大きく買われない傾向にあります。
しかし、他の相場による下落した多数の銘柄と異なり、年度内の変化や新需要などで上方修正しているのでこれを無視するのはもったいなく、上方修正の内容を見て買えば本決算から来期の期待までできます。
下方修正 or 決算が期待以下
上方修正した銘柄が株価的に上がっていても、評価不足なら買う。
これは王道的な方法で、相場の混乱に巻き込まれているならお買い得です。
逆に、下方修正や決算が悪くて売られているパターンで買えるかどうか?
理由次第では悪い決算での急落も買い場だと個人的に思っています。
しかし、ケース次第。
1Qの決算で急落したジャパニアスは今期増収増益を掲げる企業です。
1Qは先行投資により増収減益でした、これが続くなら確実に下方修正します。
下方修正が前提の銘柄はPERが下がります、予想より20%減益ならPERは20%上がるわけで、株価が同じでも赤色のPERは20%上がります。
なので、上のチャートだと株価と赤色のPERが急落しており、PERだけ見れば過去最低クラスです。
業績を達成できる場合、ジャパニアスは現時点の評価が最も低い評価なので再評価がされるなら2600円台から3700円台までは回復余地があります。今期達成で来期も増益なら株価が4000円を超えるのも容易なので5200円という現在株価の倍を数年以内に達成できる可能性がある銘柄です。
2600円から次の本決算後に倍増する条件は今期業績達成、来期増益で利下げでPER20倍まで上昇。銘柄的に20倍のPERは自然で成長持続なら当然だと思うので、そうなれば倍以上になるはずです。
ジャパニアスは2Q次第なので1Qの内は上の倍増が早ければ1年以内に達成できるという、楽観的な期待で買う人もいるでしょう。
配当利回りも高いですが配当性向が50%なので減益なら減配するはずで配当は仮初です。
下方修正したパターンで株価が上がっているのは私のNISA銘柄のミライト・ワンです。
当ブログで何度も紹介したので私が保有しているのはご存知かと思いますが、2月に下方修正をして急落しています。
その急落時に買った銘柄ですが、ジャパニアスと異なり理由があったので買う決断ができました。
2月に発表した下方修正の理由は大型工事遅延の引当金とM&Aによる一時コストです。
低PBR銘柄でもあるので赤字以外は待てると私は判断して、すぐに買いました。
一時的な理由による減益で、工事遅延は来期以降も2024年問題であるかな?と不安ではありますが、低PBRを同業は解消しているのでミライトワンだけ放置はあり得ないという判断です。
安値から株価がすぐに回復していますが、優待拡充と自社株買いを下方修正の2週間後に発表しており、これで上昇が確信に変わり押し目買いしています。
PERが高い状態で株価は下落前に近づいているので、本決算で来期の業績がどれくらい回復するか?が最大の争点の銘柄です。
下方修正してもPER13倍なので低PERの部類ではありますが、問題は業績回復です。
決算弱い編では最初が1Qの失望売り、次は期中の下方修正でしたが、最後は弱い本決算です。
独立系で中堅システム開発のシーイーシーは3月の本決算で来期予想を開示し急落しました。
小幅の増収減益という結果でPERと株価が一致的に下落しています。
シーイーシーはコンサバな決算を出しがちの企業で、期中に上方修正をしがちな企業です。
前期は2回上方修正しているので1Qが普通に進捗するなら2Q以降に上方修正する可能性があり、人材を大量採用して拡大フェーズという企業でもないので需要があれば対応して上方修正するという形になりそうです。
PERは平均的な位置にあるので上方修正があれば株価が上がるというシンプルな上昇に期待ができ、IT系にしては3.5%程度と高配当で妙味があります。
今週は決算銘柄が多いですが、本番は5月の決算ラッシュです。
決算前に上昇していく銘柄は決算跨ぎで入るのはリスクでしょう、まずは最近決算を終えた銘柄で、業績修正をした銘柄をソートして株価とPERの動きを見てみるといいでしょう。
投資家は短気なので上方修正した銘柄を正当評価せず、すぐに売り始めるので株価チャートが上がっていてもお得な銘柄があります。
また、本決算でコンサバな予想を出しがちな企業は期中の修正が多いため、コンサバ決算でPERが相当低い状態なら、期中の上方修正で最低PER×PER低下で最強じゃね?とワクワクします。
決算後に下がっている銘柄を買うのも、上がっている銘柄を評価不足と買うのもどちらも冷静に行えば低いリスクで保有できるのに再評価があれば簡単に2桁上昇するというお宝銘柄になります。
決算後の空白時間は最大の味方。