日本株における大型株の比率がITバブル以来の水準へ
The US stock market isn't the only one with high market concentration
— Game of Trades (@GameofTrades_) March 14, 2024
Market cap of top 30 Japanese stocks relative to their index have now reached levels last seen in 2000 pic.twitter.com/aNESHYxlqe
時価総額ベースであるTOPIXに占める、時価総額上位30社の比率がITバブル以来の40%超えへ到達しました。
最近だと円安と新車生産復活で大増益のトヨタ、半導体関連の上昇による新たな大型株など時代の変化を受けながらも、最上位銘柄のみに資金が集まっている現象がTOPIXでも出現しました。
日経平均株価はTOPIXより分かりやすい一部に偏った指数ですが、TOPIXは時価総額に偏った指数で米国のS&P500のような感じです。
TOPIXに占める上位30社の比率はコロナ前では30%程度で、100兆円なら30兆円が上位30社の金額となっていました。
TOPIXは2019年から80%上昇しているので180兆円とすると、40%だと72兆円が上位30社なのでコロナ前と比べると上位30社の時価総額は倍以上に増えている可能性があるわけです。
この中でさらにトップ10が目立った上昇なら米国株同様だと思いますが、80兆円増えたと仮定した場合に、42兆円=増えた時価総額の半分以上が上位30社の分なので最近の相場で偏りがある上がり方をしているのは頷ける内容です。
上位しか上がらない現象
TOPIXは2155銘柄あり、上位30社は社数ベースなら1%ちょいです。
比較できるS&P500は500社ですが、500社のうち7社で30%程度なので米国株も偏りがあります。日本と同様に40%までのシェアにすると上から15社〜20社くらいなので比率で言えば日本株の方が偏りがありそうです。
日米ともに一部の大型株が目立った上昇をしている点は変わらないでしょう。
米国では時代を象徴する新たな大型株が登場するので、凋落していく大型株に代わる新規の成長した大型株が上がってくるので偏りはありますが、新陳代謝があります。
他方で日本株だと、良くも悪くも世界で成功しているグローバル大型株が圧倒的に強く、自動車は依然として強く、米国株で自動車はウェイトが小さいですが日本だと大きなままです。
最近の主役である半導体は海外のソフトとハードの両方の成長で自動的に成長していきます。
自動車も半導体も基本は海外での成長のみで、海外次第であり、日本国内を頼りに巨大化する企業はほぼなく、メルカリは3000億円、楽天は1兆7000億円と国内メインのプラットフォーマーは大した時価総額ではなく、グローバル化しているか否かが兆円を軽く超えれるかどうかの重要事項となります。
新規上場してくるような企業は基本的に国内メインに成長している段階の企業で、国内で成功したらリクルートのように米国企業の買収など海外に出る大きな戦略が必要となります。
リクルートとメルカリは消費者からすれば存在感はそこまで変わらないでしょうが、リクルートの時価総額は10兆円あり、メルカリとの規模の差はとてつもない。
同業のdodaで知られる国内大手のパーソルが4000億円なので比較できる規模の企業が同業にはない。
メルカリは海外挑戦して過去に失敗しており、現在は米国に挑戦中ですがこれからです。海外で成功しているかが時価総額〇〇兆円を超える条件なのは、リクルートとメルカリ、パーソルの差で分かります。
次に兆円を超えていく企業が出るとすれば基本的にグローバル化が前提で、個人的に外食チェーンは海外出店に注力を始めているので、日本に成長の道がない外食系は海外中心に業績拡大できれば時価総額が倍になっても不思議ではないです。
ソフトウェア系企業は圧倒的なシェアと利益率があれば国内メインでも兆円企業になれますが、これからの時代だとほぼ不可能だと思われ、マネーフォワードやラクスあたりは過大評価含めれば兆円企業に迫れそうな感じです。
日本株投資家の成長ストーリーは基本的に二択で、相場のモメンタムを引っ張る大型株を相場が上がる中で保有を続ける。
あるいは時価総額が300億円未満の小型株から国内で成長できる企業を探して、セクターの注目や成長から株高になることを期待するかです。
中小型株の成長パターンは日本内での成長がメインとなり、国策に合えば強いトレンドとなり倍以上のリターンを取れます。が、メルカリ3000億円、パーソル4000億円のように5000億円を超えていく前で成長性が懐疑され、再びトレンドを形成する成長は国内では不可能になってきます。
多くの事業をバズらせてきたサイバーエージェントで時価総額5000億円なので、自分の投資先が時価総額500億円だとして、10倍になると期待した場合、メルカリやサイバーエージェントを抜くか、近づくことになるのでかなり強い成長が必要になります。
エムスリーやベイカレントも下落トレンドから抜けれず、上で取り上げた過去の成長期待株も1兆円から半分程度で留まっており、海外でも伸びるエムスリーは期待余地がありますし、マネーフォワードはシェアを取れればDXで成長はまだまだ可能ですが、一部の銘柄に関しては1兆円チャレンジできる成長性がもはやなくなっており、大型株といえる1兆円に迫れる企業がそこまでないです。(エムスリーは下落トレンドでも1兆円企業)
個人投資家が注目するような企業はスタートが数十億円から数百億円と小さく、めちゃくちゃ上昇してもメルカリやサイバーエージェントラインまでくると超割高なので崩壊していきます。
かといって、メルカリ規模の企業を個人投資家が煽るには大きすぎるので上昇を続けられないですし、好業績が続く4桁億円の企業はごく少数なので最上位大型株の構成は2010年以降はそんなに変わらなくなりました。
日本株における小型株→中型株化のスケールは年に何十銘柄もありますが、中型株→大型株化は年に数銘柄あれば最高な相場!という程度でほぼ入れ替われず、あるとしても利益が倍々に増える半導体セクターが中心であり、日本で新たな大型株が生まれるのは相当難しいように思います。
過去に時価総額1兆円を目指すと発言してきた経営者の企業は9割未達なので、1000億円は楽でも、5000億円は相場の後押しなしでは厳しく、1兆円には圧倒的なビジネスモデル、寡占、成長産業の全部の係数が必要で、期待できるのはごく少数です。
逆に言えば、日本株の上位30社は世界でも優位な圧倒的企業なので資本を惹きつける魅力があるため、ITバブルのようなバブル的相場では大型株の比率が高まっていくのでしょう。