NT倍率が高値の後は日本株ピークになりがち
金曜日決算の企業3社の内、2社が爆死確定したフルツチです。
今回は日経平均株価とTOPIXのバランスを測る指標となるNT倍率から見る日本株の状況を見てみます。
NT倍率とは
簡単に書くと株価の平均の日経平均株価と時価総額の平均のTOPIXのどちらが強いのか?という指標で、日本株全体に資金が来ていると時価総額ベースのTOPIXが強いし、一部に集まっているなら日経平均株価が強くなりやすい。
その強さをどちらが優位か?NT倍率上昇なら日経平均株価優位、下落ならTOPIX優位となる指標です。
日経平均株価は指数内の株価の平均で評価されるため上位にあるファーストリテイリングや東京エレクトロン、ソフトバンクGの影響が大きく、上位5銘柄で20%近くを占めているので、ファーストリテイリングが大幅高だけで他が不動でも日経平均株価は1%以上プラスにすることもできます。
上位の単純な株価の動きが重要なため、時価総額54兆円のトヨタが動くより、12兆円のファーストリテイリングが動くほうが何倍も日経平均株価は影響されるので値動きが激しく、悪く言えば少ない資金で持ち上げやすいです。
TOPIXはトヨタ 54兆円、ソニー 18兆円、三菱UFJ 17兆円と時価総額順に評価されるもので、上位銘柄に資金を同額入れる場合は日経平均株価より上昇しづらい指数です。
日経平均株価に少ないセクターで影響が大きいのだと金融や製造業などありますが、バリュー株が比較的強いときはTOPIXのほうが上がりやすい傾向にあります。
そのバリュー株が強いという状況はバリュー株全体に影響があるときなので資金が流れている証拠にもなります。
NT倍率が高い状態とは?
上に書いたように日経平均株価がTOPIXより強ければ=上昇すればNT倍率は高まります。
NT倍率はある程度の平均値がある指標なので、例えばボラティリティの指標であるVIXのようにこの水準だと行き過ぎというのが基本的にあります。
コロナ相場が終わりVIXなどが落ち着き始めた過去2年に絞ってみると、
2022年8月に14.5倍→日経平均株価2万9000円をピークに年末2万6000円まで下落
2023年6月に14.6倍→3万3700円をピークに上値は超えずに10月末には3万1000円割れ
直近の2年間で14.5倍を超えたのが上の2回で最近の傾向的には13.8倍から14倍あたりが心地良い水準で、それより上下に行き過ぎると短期的に上がりすぎか下がりすぎになります。
現在のNT倍率は14.43倍と最近の傾向からすると上限に近づいている可能性があります。
NT倍率の上下の運動は日本株にポジティブな影響を与えつつも、どちらかに行き過ぎているときは戦略を考える必要があると思っています。
まずNT倍率が上昇という局面は日経平均株価の平均水準が押し上がるときに起きている現象で、成長性ある上位銘柄に資金が入ってくることで日経平均が上がり、その後にピークとはなりますがTOPIXなど全体をぐるぐると資金が流れているように思います。
NT倍率が直近の下限付近にあった2023年1月の13.8倍から6月まで14.6倍まで倍率が拡大しましたが、ここで日経平均株価は2万6000円から3万3000円まで上昇しており、日経平均株価寄りの銘柄に投資していれば大きなリターンで、バリュー株も強かったのでTOPIX自体も比較的好調でバリュー株もリターンは大きかったです。他方でグロースは酷かったですが日経平均株価は大型グロース(半導体のみ)、TOPIXはバリュー株(日本株そのもの)なのでNT倍率拡大でも大企業は全体的に良かったですが、一部は逆に下落がずっと続いた不均衡
次は2023年10月に再び13.6倍と倍率が下がりましたが、2024年2月頭に向けて日経平均株価3万600円→3万6800円と拡大し、上に書いたとおりに倍率は14.4倍に再拡大しています。
最近の傾向からするとNT倍率が低いところから上がるときは日経平均株価が急拡大し、下がるときは日経平均株価は10%近く下落するという感じです。
NT倍率がピークに近づいている状態はTOPIXという全体よりも、日経平均株価という一部の銘柄が上がっている状態であると言えるので、相場的に流動する資金が偏ってきて、限界を迎えているという見方もできます。
ここで重要なのはEPS拡大や利下げ、流動性増加イベントがない限りは新規投資の理由がないことから銘柄の動きが極端になりやすいです。
最近のボラティリティが高いと思う理由
最近だと時価総額が10兆円を超えるソフトバンクGが1日で10%上昇するというのが連続しています。
日経平均株価の鉾ことファーストリテイリングは1週間で15%近く上昇しています。
日経平均株価ウェイトの大きな企業が極端に動きやすい時期は過去からすると相場のピーク感があります。
理由はどうあれ、ウェイトの大きな企業も極端に利益が急増することはないので短期で10%20%動いていい企業ではないです。
仮に動いたとしたら良いニュースが連続しないと値は守れないですし、業績が急拡大する必要があるのでソフトバンクGはいけても、他が中々着いてこれないから平均では落ち着くとなるはずです。
また、日経平均株価の一部銘柄が上がって増えた資金が次の評価先に流れがちなのでリバランスで違う資産に投資先が変わる、ファンドなら税金など売りが出る、シンプルに割安な資産へ向かうなど全体のバランスが取られる過程でNT倍率が一度は14倍を下回るまでリバランスされるはずです。
そうじゃないとしても、大型株が強い相場は資金を持て余している人たちからすると後追いで簡単に増やせる相場ではなく、短期で動かそうという人が多くなるので、高調な大型株以外では激しい動きがあっちが良いじゃんという優良株までも見切り売りされる不健全と不均衡さが相場で目立ってきます。
これがよくある日経平均株価が上がっているのに資産がマイナス!とXなどで言われる状態で、Xで一部の銘柄にしか資金が流れてないじゃん!という文句は当然であり、そのときは相場自体が危ない状態になっているかもしれません。
つい最近流れてきたポストですが、これがNT倍率が高い状態と言える画像です。
よく分かる最近の日経平均🐻 pic.twitter.com/cRBxFFOe4a
— 投資熊🐻癒しのどうぶつ投資家 (@invest_kumakuma) February 9, 2024