株主還元か割高株を買う
現在の相場は日米株ともにトップ10の銘柄への依存度を極めており、上位銘柄のみで指数が最高値を更新している。
最近のNvidiaの決算をめぐる指数や世界株のひとときの乱高下はまさに少数の銘柄に世界株そのものが依存している状況であり、Nvidiaに左右されて最高値更新した日経平均株価は超景気敏感株という性質を持ってしまっている期待が上がれば敏感に反応する指数そのものとなっている。
狙うなら割安株だけでは足りない
モメンタムがついた割安株は株主還元強化を発動済みで、その政策を前提に利益が増えるならPBR1倍を超えていく低PBRはいくらでもあるだろう。
ロングオンリーの投資家が日本のバリュー株を多数買っているが、このバリュー株投資の狙いは2点あり、①バリュー株の平均回帰で自分の次に買ってくれるロングオンリー投資家の参入を待つ、②株主還元で会社に株を買わせたり、還元で魅力を上げてもらってバリューの水準を引き上げる。評価を投資家にさせるか、企業にさせるかの違いで、最近は②が有力。
アクティビストが大量保有して還元させるのは②を狙っており、会社に価値を引き上げる方法をぶつけて受け入れないなら価値のないバリュー株なのでアクティビストが去ったら、その企業への期待はできないと言っていい。
日本の低PBR株は株主還元の強化で買われるのが第一弾となっており、円安で増益してさらに還元することでPBRを意識しているというより、PBRが低いと1株あたりの還元は強くなるので買われる。
自社株買いなら投資家を待たずとも企業が買っていくので、NTTやKDDIのように自社株買いを毎年行うなら割安株でも底値は切り上がっていく。
割安株で株主還元方針が東証改革以前と変わっていないなら期待して待つべきで、もし発表があって10%高となったとしても他の還元強化株が50%〜100%と上がっているので全然間に合うだろう、バリュー株はほとんどは50%上がってもバリュー株で、100%でようやく平均に近いか超えるかの水準で安い。テレビ局などは倍でもバリュー株なので底値から凄い上昇した。
割高株を買わないと市場平均を上回りづらい
割高株×上昇モメンタムは極めて重要な点で、AI株や半導体株のように上がるから上がっていく。株価が上がる限りは上昇が肯定され続けるのでトレンドの間ならPER50倍をどんどん超えていっても気にしない投資家が多い。
上昇トレンドにある銘柄はマクロが変わるか、評価が変わるか、覚めるまでは上昇トレンドの渦中にあり、終われば半値は普通で、中身が弱いと8-9割下落することもあるが割高株をトレンドの間は持ち続けないと指数に勝てない。
現在の株価指数は日本なら東京エレクトロン、ファーストリテイリング、アドバンテストが強いトレンドを維持するなら最高値を超え続けることは簡単で指数が上がると予想するなら構成上位のどれかが大上昇することになる。倍々とはいかないが指数を凌駕する。
米国ならマグ7という巨大テック7社があるが、Nvidiaとマイクロソフトあたりを見ておけばいいだろう。
マイクロソフトとNvidiaの予想PERは35倍となっている。
マイクロソフトは過去平均だとPERが高値圏でこれを超える年は5年間でそうそうなく、EPS成長と自社株買いなくして上昇継続は平均PERを大きく上回る必要がある。
Nvidiaの35倍のPERは過去から見れば極めて安く、来期も成長するなら下値を固めていくPER状態でAIやデータセンター向け半導体の競争激化で利益率が下がるなどがない限りは問題なく、Nvidia包囲網が形成されて減益となるなら成長性疑問とPER割高で売られるだろう。
問題は日本で東京エレクトロンは予想PER50倍でコロナ後で最高水準を突破し続けている。来期に50%の増益があっても許容しづらく、来年度は利益2倍あると余裕。横ばいや50%未満の成長では上昇継続は不合理。
アドバンテストは81倍の予想PERで1年前の予想PERが15倍なので地殻変動が起きている、あまりにも来期と来来期への期待が高すぎる。独占性のある事業とはいえ半導体セクターを最大限に過大評価しても高すぎる。こちらは次年で利益2倍は最低限欲しい。受注大幅増加でも許容できる投資家はいるでしょう。
ファーストリテイリングも過去平均よりは高いところにあり、日経平均株価の上位銘柄をどれを見てもトレンド転換した場合の下げ幅が大きい銘柄が集まっている。
日経平均株価を押し上げている半導体銘柄はPERが過去最高は当たり前の状態となっており、半導体バブルということは考える必要がある。AI銘柄はPER100倍超えばかりなので、半導体とAI企業は利益2倍が今年か来年にないと期待外れ、景気後退でも利上げでも耐える高PERのグロース株は利益が追いつく企業でありNvidiaはその点でPER35倍かつ来期も上昇するので許容されている。
ファンダメンタルズを前提にしていれば業績不動の半導体株を割高で買うことはできない、せめて割安で買う選択をしたとしてもモメンタムが乗らないと上がらないので上がらない。
東京エレクトロンとアドバンテストは外国人でも知っている、日経平均株価構成最上位クラスの半導体株でセクターで買っていけば勝手に多く買われる。
買われていることと、Nvidiaが主導する半導体株の上昇が日本の強い半導体株をさらに上昇させるので半導体株内でも集中がありながら指数を巻き込んで最高値を更新し続けた。
特に東京エレクトロンとアドバンテストは半導体市況の回復程度では足りず、半導体産業の設備投資が爆発的に増加しないと許容できないPERで半導体がAIで注目されすぎ、Nvidiaが成長し過ぎた点で流石に割高すぎるし、Nvidiaよりも割高。
これから指数に勝つ場合に考えること
これからも日経平均株価が上がっていくと仮定した場合、どれが主導するのか上位10社くらいに正解がいるか、バリューかグロースの片側が死ぬほど上がって指数が上がるはずで全部高は過去2年の日経平均株価を見て起きていないので除外していい。
また、指数に勝つというのは継続的に長期的にであり、コストもそこまでかけるべきではないシンプルに簡単に超えれる銘柄をただ保有するだけが良い。トリッキーな中小型株は不適切だろう。
上がるとして、何が上がるのか?そのセクターの代表銘柄とダークホースと割安株を買うと面白いだろう。私は半導体株のダークホースで野村マイクロサイエンスへ投資して成功した。代表銘柄はもともと米国株で半導体を買っていたので日本株で東京エレクトロンとアドバンテストが凄い存在なのは割りと最近知ったので遅れていて手が出なかったw
中国回復で精密機械や電子部品系が復調するなら半導体以外にも優良な日経平均株価採用銘柄は多くあり、ファナックや安川電機はファンダメンタルズが上向いてトレンドがつくならPER的に倍以上いくことになるだろうか。
上昇が続くとした場合に勝とうとすると既に上がりまくっている銘柄への投資が最適で、日経平均株価の構成比的に電気機器は抜けないし、1株でもいいからファーストリテイリングも必要だろう。電気機器セクターとユニクロだけで日経平均株価の40%近くを占めている。
下がる場合のことを考えよう、上位構成銘柄のほとんどが株価とPERともに最高値圏で、特にバリュエーションが割高すぎるとトレンド転換で売られる場合の速度が早いので指数を巻き込んで急落するリスクが高い。
そうなると日経平均株価よりも下落スピードが弱い、あるいは日経平均株価が下落するときに上昇する銘柄が望ましい。そんな銘柄は日経平均株価構成内に10%もないだろう。全部下るときは8-9割が一緒に下落する。
下落の間のパフォーマンス評価は下落幅が小さいという耐性力か、そもそも保有していないか、金利低下などの事象から逆に現在の高金利or円安がネックな企業のファンダ改善でのアウトパフォームかを考える必要がある。
ほぼ半導体とユニクロで上がっている日経平均株価が10%から20%下がっても日本経済への影響はないと思う、とにかく投資家がパニックになるだけで上のように反対に改善する企業を考えても普通に下落すると思います。
なので割安株を買っておけば配当利回りやPBRなどが下落を止める材料として機能してくれる。
下落のときに注意してほしいのは指数が下落トレンドになる場合、下がり基調のグロース株=割高株でも1日で5%以上下げていき、新安値や年初来安値をどんどん掘っていく場合が多い。上昇していない割高株でも評価は割高株なので強く売られる。
下落を前提とするなら指数のショートでもいいですし、現金化でもいいでしょう。上がりすぎている銘柄を高値で買っていなければ損失が急激に増えることもないので、割安株投資家なら下落時にその直前の指数上昇と持ち株とのリターンの乖離が縮んでいく。ここで投げ売りをしなければ上昇相場→下落相場で縮まった差と新相場で一気にリターンが取れる場合がある。
もし指数の上昇に追従しない持ち株を保有し続けたのなら、下落時に投げ売るのは機会損失と実損失の2点で市場へ致命的な敗北をしたことになるので注意してほしい。