もっとも理想的な配当株のタイプ
高配当株のあおぞら銀行が米不動産市況悪化の煽りで赤字となり無配からのS安と投資家はコンボをくらっています。
あおぞら銀行は通常の銀行よりもビジネスサイドに寄っていて、一般の人が使うタイプの銀行ではないので高配当株として有名な割には利用者は少ない銀行で現在はエクイティやレバレッジファイナンスなど金利がない時代の成長分野を進めており、その収益源が不動産ファイナンスなのですが、成長元が赤字の原因になってしまっているわけです。
事業や四半期配当などを見ていると米国にある銀行って感じで面白いですが、その米国不動産の部分で赤字になったのでミスった感じでしょうね。
高配当ランキングというのを参考にする人も多いと思いますが、高配当株常連なのであれば、配当が高いのに買われていないということなので納得して投資して成長からも恩恵を受けるというのがない企業と言えそうです。
高配当ランキング上位は5%超えが多いですが、例えば短期的な利益を配当として出して1期だけ高配当化するとか、記念配当とか色々あるでしょうが高配当ランキングに理想的な配当株は多くないです。
高配当や増配ランキングにあるような企業はそれを維持するのが精一杯で事業成長が限界のところが多く、収益性が伸びない、高配当や増配で投資も満足にできないので動けない状態の企業が多いです。アメリカ式企業なら配当自社株買いでMAXの還元をした上で、投資家が経営者を見張る形で経費削減や成長分野への適切な投資ができているかを反映できますが日本にそんな機能はないです。
理想的な配当株
長くなりましたが理想的な配当株というのは利益が継続的に伸びて、配当性向が30%程度で高くなく、それでいて配当利回りが1.5%~2.5%くらいの企業が理想的だと思います。
まず配当の源は企業が生み出す利益であり、この利益が伸びていなければ増える配当は企業の無理そのものであり、利益を配当に出すために成長が難しくなるというジレンマです。
例えば配当利回りが2%から3%の間にずっとある銘柄は基本的に高配当ランキングに顔を出さない水準ですが、利益成長に合わせて株価が上がりながら配当利回りが2-3%で安定しているなら5年とかのスパンで見ると高配当化する上に売却益も溜まっているわけです。
2023年からの東証還元祭りで増配した企業は多いですが、この増配は配当性向引き上げという形で行われており、私が昔から書いていたアメリカ企業のように還元をもっと強化して経営層が使える自由なお金を減らせ論に合致している形で多くの配当引き上げ余地のある企業が増配して株高になりました。
この配当性向引き上げは行ってしまうと引き下げはできないですし、企業は資金を過剰に貯めることができないので成長投資や買収には資金調達が必要となってきて、日銀の金融正常化が言われる中で企業の資金ニーズは増加するでしょう。
東証が言うようにROEを上げるなら不要な事業を売却し、不要な事業は畳んで、必要な事業を買収するのが手っ取り早いので日本企業の買収は増えるでしょう。
ここで適切な投資や成長ができない企業は配当性向引き上げはしたものの成長ができなければそれで終了です。
なので、私が理想としたように配当利回りはそこまで高くない、けれど営業利益ベースで10%以上の伸びはまだ継続できる、その上で配当性向が30%程度であれば50%までの引き上げは比較的簡単に行えるので成長からの増配、最終的に配当性向引き上げでの増配と二段階の株高を受けることができます。時間がかかるので主力株でやるのは大変ですが、株からの利益を安定運用するのであれば取得単価から見て高配当化する株を持つのも重要です。
業績成長、PER低下、株価横ばいなら高配当化のチャンス
企業分析ツールで業績推移と過去5年くらいのPER推移を見れば高配当化できる企業が比較的見つかりやすいです。
まず業績がしっかり伸びていて、5年の間で利益停滞が1回程度の企業、赤字は企業の財務が悪化するので赤字化は安定した配当を受け取る上で避ける対象です。
基本的には売上か利益が継続的に伸びている企業で、株価が横ばいであれば過去平均と比較するとPERは低下しているはずです。
このときにもともとの平均PERが同業より高い企業が理想的で成長性が評価されていた企業が、そこに目をつけられなくなった状態が株価横ばいのPER低下と言えて、この間に利益はしっかり成長しているなら配当は出しているはずです。
市場が高配当をランキングから求めてしまうので、例えば増配をした企業が一気に買われるとか市場は結果や既に出ている配当利回りしか見えていません。
なので配当利回り2%の企業が20%の増益で増配しても配当利回りは2.4%なので高配当とはいえず、無視されるケースもあり1.5-2.5%の成長配当株は市場で放置されていることが多いです。
これが3%を超えてきて増配すると大ニュースになりますが、1.5%から2%程度の企業が20-30%の増配をしてもそこまで騒がれることはなく、数日が株価が埋まるでしょう。
瞬間的には配当利回り引き上げで有望株と見られますが、多くの投資家は余命1年かのようにすぐ違う高配当、増配株に移っていくので適切に評価が続かずに上下→結果株価横ばいというチャンスを置いていってくれます。
本質的に良い配当株というのは、10年前に投資した投資額に対する配当利回りが現在だと50%あるいは100%みたいな利益成長から増配ができた企業であるべきで、今投資した場合の配当利回りより、成長した後の配当利回りを求めて投資するほうが、結果として今の配当利回りしか見ていない人たちも随分後から追いかけてくるので待ったほうが良かったと思えるわけです。
また、配当利回りがある程度まで低下(株安)するとバッファとなり下落を止めてくれるので、落ち着いて持っている人はそこで追加することもできるわけで急がないのこそ真理で、投資家なら投資先を分析してOKなら保有継続で、配当が前提なら移ろう必要がない企業を見極めたいですね。