米国金利から逃げられない日本株
米国債は新たなフェーズに突入した。
中東情勢の悪化でバイデン政権はイスラエルとウクライナの両国へ支援をするべく資金を出すことになった。この2つの国への支援で財政赤字は増え、米債はさらに増発されそうで中東情勢が悪化するほど原油が上がり、インフレが長期化し、米国債の発行が増える。
米国の原油や軍需産業は儲かるがそれだけでは米債需要がどうもならない。
23年10月19日昼時点で米1年債の利回りが5.5%となっており、次の利上げで政策金利が5.5~5.75%になるのは前提で利下げが1年間ないということを示唆している。
2年債は最低で2024年の2回の利下げを織り込んでいる状態なはずだが5.25%近辺にいる。
この1週間で2年債利回りが5%→5.25%に上昇したので利下げは2年間で1回という予想になってしまう。
これによりアメリカは短期債と中期債はイールドカーブがフラット化し、20年債が5.27%まで上昇したので長期の一部においては逆イールドが解消している。
つまり、ほとんどの年限で米債は利上げをして、ほぼ利下げをしないとう状態が織り込まれている。
米債の異常な点は3年債で5%の利回りなので、米国は潜在成長率が上昇し、ドル高の世界を確定させた動きをしている点だろう。
米住宅ローン申請指数、28年ぶり低水準-借入コストが6週連続上昇
アメリカで住宅事業をしている日本企業は苦戦することになるだろうか。住宅は不足している、金利が高すぎる。
住宅ローンの増加と同時に、黒字で今でも稼げる企業以外は起債も難しくなっており、社債の借り換えはここから2010年以降でもっともリスクの高い状態になる。
ラッセル2000にあるような企業は複数破綻し始めるだろうか。
今まで言われ続けてきた逆イールドは利下げの回数を債券市場が折り込めば、回数×0.25%金利が低下するので長期債は需給もあり簡単に下がらないので逆イールド解消も見えてくる。
日本株は高すぎる金利、リスクの高すぎる米債のせいで下落して弱い状態になっているが、本質的には中東情勢が問題の株安ではなく、既に上がっていた金利と中東情勢で悪化懸念となった米国財政悪化などの複合要因で、中東情勢がさらに悪化すれば米国が爆発する爆弾のような存在で日本株は自国の要因だけでは上がれない。
なので、金利上昇が落ち着くと日本株は急に2%高などするが、金利にすぐにプレッシャーがかかるので日本株はその度に上下激しく動いている。
金利さえ問題じゃないなら一気に上がっていくファンダの企業は複数ウォッチしているが、金利に逆らうほどの企業はあまりないし持続しない。
日本企業でも並大抵のファンダメンタルズでは耐えられず、経済で言えばここ1ヶ月で悪化した点はないが、好調企業でも売られまくっている。
米国市場の半導体株は金利に弱いので、金利上がれば半導体株が下がり、日本株の主要である半導体株も弱って巻き添えは避けられない。
回避するなら内需で円高メリット企業へ逃避するくらいだが、米国の中期債利回りを見るに円高に簡単にはいかないと思う。
日銀の利上げ話もあるが、根拠が乏しいというか利上げをするメリットが日本側になさすぎる。賃金は上がっておらず、内需は拡大していない。
これで利上げしたら誰のための利上げか分からない、利上げは通常賃金を押し下げるので、バブル崩壊を知る経営者からすれば利上げで日本経済は完全に死んだことから、利上げ前に予防的な採用停止、賃金据え置きや早期退職募集、派遣切りなど、経済悪化前に利益優先に走る企業は続出するだろう。
日本が利上げで賃金が今以上に上がらなくなれば、インフレは来年も継続する見込みなので実質所得はさらに下がることが予想される。
日本側にできることは一択で内需を成長させてインフレを外部要因から内部要因にシフトさせて、世界的なインフレ落ち着きと同時に自国内のインフレで入れ替えてしまうことで、これにより持続的な賃上げと経済成長と金融正常化ができるが無理だろう。
米債の話に戻すと、
結果として逆イールド解消は米国利下げで達成される可能性が増えてきた。
利下げが近く、回数が多いなら短期債を買う。これは0.25%×nも利下げがあるのに高い債券があれば確実なリターンとなるから取るだろう。
長期債はもう少し複雑で、大量の売りポジションが増え続けているので容易に買わせてくれない。インフレが完全決着するには中東情勢とウクライナ情勢が完全に解決するしかなく、荒れている場の近くはどうしても荒れるようだ。
一応、長期債は10年と30年は5%の利回りまで上がれば需要が発生して一定の買いで支えられているが、20年債は市場が小さいので暴走気味に5%を軽く超えていっている。
長期債が上がっていって、何かがぶっ壊れて経済にプレッシャーを与えたら金利が下がるだろう。FRBがハト派に転換しない限り事件なしで金利低下が起きるのを祈るのは難しい。
利下げ予想が増える=経済が悪化、何かしらがぶっ壊れたという証拠
なので、利下げで短期債が買われて逆イールドが解消されるなら長期債は確かに買いだが、株式は危険な状態となっているのが想像しやすい。
株式を今から保有継続するなら、高い金利でも経済も何も壊れない、それで世界情勢が落ち着いて、インフレが落ち着いて自然に利下げができる状態になって、アメリカのGDPはプラス成長を維持する。
これが日本株を全力で買えるストーリーだろう。