日本の昔の最高税率は90%だったから成長した?→アメリカ/社会主義の狭間のせい
「所得減税? 岸田さん!富裕層も対象ですか?この間、3%以上の株主にかかる配当税を20%から55%に引き上げたばかりですよね。相続税も3年前までだったものを7年に遡り、生前の7年間は贈与税を認めない方針に転換しましたよね。今回の所得減税は富裕層にも適用されるのでしょうか?…
— 松浦勝人 (@maxmatsuuratwit) October 19, 2023
日本の税制はあまねく全員に地獄だということをエイベックスの松浦氏がXで発言しています。
これに一部の反応として、過去には日本の最高税率が90%に達しており、これが高度経済成長を成し遂げたと馬鹿げた発言ですね。
まずは相続税の歴史から紐解いていきます。
1951年にはアメリカ占領下で財閥解体から資本力を削ぐために90%もの累進課税をしていました。
インドはイギリス統治下で繁栄した財閥が優遇され、現在のインドの大企業は財閥系が強くタタ・モーターズのタタは財閥で三菱みたいな意味です。
インドは財閥を優遇するかのように相続税という概念はないです。日本と真逆で優しい税制で財閥が強くあり続け高度成長の牽引をし、外資と手を組んで拡大を続けています。
話は日本に戻りますが、財閥解体で日本から経済を牽引する存在はバラバラになりますが、最高税率は70%→55%と日本が主権を取り戻すと相続税率は下がっていきましたが、商社がバフェット効果で再評価されるまで財閥系というのは1企業に過ぎない。まだ戦後にできたトヨタ財閥の方が強いでしょう。
相続税は日本だと面倒くさく社会主義的な制度で、まともに相続税があるのはヨーロッパくらいでしょう。
アメリカは基礎控除が日本より圧倒的に高く1292万ドル以上で発生し税率も18%から40%と、日本の金持ちレベルではアメリカなら相続税は発生さえしないでしょう。
まず日本の相続税は90%から下がった今でも最悪レベルに高いことは間違いなく、経済成長している国は必ず日本より低い税率です。
日本は相続税が高いので現金のままでの相続さえ大変なので、資産家は地獄的な対処をこなす必要があります。
所得税と住民税
74年から84年までの所得税は年の所得が8000万円以上なら75%でした。今よりも50年近く前の物価で8000万円の所得で、74年の平均年収は150万円程度なので現在の感覚だと2億4000万円なら税率が最高に達する感じでしょう。
当時は150万円で所得税が14%あるので、全体的に税率が高い。
所得税や住民税が過去の方が高かったのは貧富の格差を埋めるためというのがあるでしょう。
これは日本が成功した社会主義の国と言われている所以と思っていますが、税率がもっとも高かった70年代から80年の上の時代は日本赤軍が活発で事件を起こしていた時期で日本の左翼が荒れ狂う強い時代でハーグ事件やダッカ日航機ハイジャック事件などの時代です。
逆に言えば、当時でもかなり余裕のある生活ができる年収1000万円まででも所得税率が30%なので、いまの日本が1000万円で33%なのを考えると物価差や累進の下限を加味しても70/80年代の方が中間層は現在の10倍くらいは楽だったでしょう。
その後の所得税の最高水準への到達する所得は
8000万円→5000万円→2000万円とバブル崩壊で経済が完全に死ぬまで上限が下がっていき、最高税率も低下していきました。
現在は4000万円以上から45%で落ち着きましたが、これに住民税をプラスした数字に松浦氏が高すぎると言っているわけです。
昔の74年からの10年間は左翼や日本自体のマルクス思想もありますが再分配意識なのか、年収の上限も高いが税率も高いという大成功者は多くの税を納めようという方針でしたが、その考えが経済のピークを作り出したのか、あるいは稼ぐ意欲を下げたのかあれよあれよと最高税率の金額がピークの6分の1まで低下するまで追い込まれています。
ちなみに所得税と住民税で90%近く持っていかれる当時は、
もしテレビ関係者なら1時間番組の冒頭以降は納税のためにテレビに出ているような状態。
もしサラリーマンなら年度始めの4月より後はずっと税金のために働いている状態。
作家ならあらすじ以降を書くのは納税のためみたいな状態。
テレビで人気なスターはほとんどを納税のために活動しているのに、税の恩恵を受ける国民から追いかけ回されるので最悪な時代ですねw
最後に少し書いておくと、消費税はバブル崩壊の直前に導入された比較的新しいもので、これも経済にはブレーキをかけ続ける存在であす。
消費税を導入し、消費税率を上げるたびに消費の伸びが減っていくというシンプルな相関が示されています。
消費税の免税事業者もどんどんと免除額を下げられて当初の予定から全てが覆されて、全員が10%の消費税を払うインボイスで日本の究極過重税は完成へ向かっています。
日本の所得税と消費税だけを見れば、昔より多少は良くなったというよりバブル崩壊前から制度的ミスを改善することができずに結果的に所得税は下も上も税率が下がる結果となり、これは制度ミスから貧困化の結果に行き着いただけだろうと思っています。
相続税は先進国を除けば導入している国が珍しく、あっても税率や控除が日本よりだいぶイージーなので日本がかなり過酷な税制。
昔はアメリカにより財閥解体の流れで富の再分配ではなく富を剥奪しきるのに役立ったでしょうが、結果としてインドのような財閥主導での経済成長とは言い切れないし、アメリカのように富裕層優遇やアメリカンドリーム的な経済とは真逆の社会主義的政策が90年代まで続いていたので新興企業も増えない中で途中までは良かったけど、バブル崩壊から最終的には制度ミスと中途半端のダブルで現在の日本になっています。
現在の税制は中途半端に低い部分も多いですが、しっかりと高いので総合すれば高いという印象です。