日本のマクロ環境を見ていたらマイナス金利を解除できるとは思えない

2023年9月10日  2023年9月10日 

植田総裁がマイナス金利解除について言及してしまったので相場が荒れている。

YCC修正後に落ち着いていた10年金利が0.7%を超えていきそうだという状態、銀行株にとっては多少は美味しい話なので以前書いたように、なにかに投資するなら日銀リスクヘッジで金融株を持っておくべきというのは当たっていた。

本日は銀行株とフリービットの大幅高で資産が急上昇中だが、グロース株がマイナス金利解除なしなら随分安く見える。




日銀はマイナス金利解除なんてできない

日本人で経済について理解している人は0.001%くらいだろうか?みんななんとなく生きている。知っている経済知識は節約くらいだろうw


まず日本のマクロ環境だが利上げするならインフレが収まらないということか、あるいは潜在成長率が上がったかの2択だ。目標インフレ率が2%なので金利を決める潜在成長率は簡単に求められるので利上げ幅も読める。

日本の潜在成長率は米国のようにオープンではないが、植田総裁は0%前半としており、これなら利上げはできない。

仮に0%後半でもマイナス金利解除はした方がいいかな?とはなるが、インフレ率が収まるなら再びマイナス金利だ。

最後に1%を超えて、2%のインフレ率が続くならマイナス金利解除!利上げGO!でいい。


重要なのは2%のインフレ率が続く、潜在成長率が1%以上で続くという日本の過去30年の数秒しかなかった経験を日本が達成できるかだ。

高卒で働きだして20年経った人に、お前ハーバード合格して卒業してこい!並みに大変だろうw




日本経済のマクロ環境

日本にインフレを定着させるとすれば内需ではない。

資源高と円安だ。

原油は100ドルに向かうかもしれない、産油国の傲慢が世界のインフレ率に数%のプラスを与えており、アメリカが景気悪化したときに中東は悪の親玉となるかもしれない。

過度な金融財政政策でインフレを拡大させ、世界を利上げレースに巻き込み通貨価値の急変を招いたアメリカはトップクラスで厄介者だが…


さらなる円安は米国の追加利上げ、さらなるインフレは産油国の原油高維持によってもたらされる。




日本内需はどうだろうか?

日本人が消費を増やして、需要を増やしてインフレしているかもしれない。いやそれはない。

7月実質賃金2.5%減 16カ月連続マイナス、下落率拡大

実質消費支出、7月は前年比5.0%減 物価高響き2年5カ月ぶり下落率

日本の内需は再びロックダウンに入ったかのような悲劇的状況だ。

実質の賃金は増えておらず、消費は5%も減っている。5%だ!!!1%でも大事なのに…



もし日銀がマイナス金利解除から利上げをすれば、それは日本人のためではない。

低金利の資金供給を断ち切って、死なばもろともを実現する特攻に近いだろう。


日本内需からインフレなんて起きていないわけで、YCCをいじろうが、マイナス金利を解除しようが産油国とアメリカが落ち着いてくれないとインフレが収まるわけがない。




日銀や日本政府に簡単な解決法を伝授するとすれば、通貨切り上げ的な超円高政策を取ればいい、日銀が債券を恐ろしい勢いで売っていき、政府は金を買ってドルを売り続ける。

相場悪化と意図的なリセッションを招けば、雇用と物価の安定の反対だが円高になる。


政府は増税すればいい、旅行客と輸入品に大幅な増税をして、貿易赤字を減らせば円高だ、貿易黒字も減るし、投資収支も悪化するだろうが自分たちが引き起こす分には計算可能だろうw

これで国内景気が悪化すれば賃金が下がり、インフレも収まり、人手不足も解消するだろう。素晴らしくWin-Winの方法だ・ω・



冗談はさておき、日本のインフレの問題は値上げの遅れと円安と資源高だ。


日本企業が企業物価指数に連動して値上げしていれば、インフレのピークは世界と同時期だった。

企業物価、3.6%上昇に鈍化 飲食料品は値上げ根強く

日本の企業物価指数は一時10%に迫ったが、日本の消費者物価が9%も上がった月はない。

企業物価指数のピークが世界のインフレピークに近い感覚。明らかに値上げが遅れたので世界よりインフレがしつこく見えている。





8月の東京消費者物価は11カ月ぶり3%台割れ-電気代など下落

東京CPIは鈍化を見せており、大きなウェイトを占めるのは生鮮品除く食料品の2%の上昇で、インフレの大部分が食料品になってきている。

これが生活者を直撃する問題で、ガソリンと食料品が上がるなら消費は減少する。なぜなら、一番生活の中で実感するからだ。


加えて電気代が再び上昇するが、ガソリンと同じ状況で政府に支援策次第では抑制できる。


企業倒産は742件、前年同月の1.5倍に 全国10県で2022年通年の件数を超える ― 全国企業倒産集計2023年8月報

倒産件数は前年比で1.5倍に増加だ、来年も2桁の増加なら最悪が続く。

日本企業にはレイオフは基本的になく、契約社員の契約切れやバイトなど不安定な職種を増やして切るなどしてきたが、それでは集まらないので人手不足も倒産の理由だ。

レイオフできないので会社の立て直しが難しく、社員のために潰れる会社も少なくない。



7月の完全失業率 2.7% 6月より0.2ポイント悪化

3%を超えていないので大丈夫だが、完全失業率まで悪化している。

仕事があればすぐ働ける、最近仕事を探しているなどが完全失業率の定義だが、家庭にいた女性が求職活動したり、FIREしていたけど現実を知った人が労働に参加したい場合は上昇する。

この悪化は働いていなかった人が求職活動をしているでも悪化するので、倒産件数によって失業率が上昇トレンドに入ったわけではないので注意してほしい。まだ人手不足だ。




今回は最近の日本経済のマクロを見てきた。

恣意的にデータを選んでいないし、最新のデータをメインで拾ってきたが日本経済が良い証拠を見つけられなかった。

良い証拠がなく、実質賃金も実質消費も減っている中で金融緩和を止めるだろうか?


ガソリンと電気代と食料品が高いだけで、他の多くを犠牲にする金融引き締めに移れるだろうか?東京CPIが加速していたなら肯定できるが、11ヶ月ぶりの3%割れとなっている。



日銀は何を根拠にマイナス金利を解除できるのか示してほしい。

実は今月から国民の消費が2桁増を続けるデータでもあるのだろうか?

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