アメリカの住宅市場がリーマンショックと今で違う点
アメリカでは中古車の自動車ローンを拒否する割合が10%を超えており、組むためには信用スコアの高さと頭金などのしっかりとしたバッファがいるようだ。
さらに加えて、1日に2万台近く車が差し押さえされているらしく、ローンを組んでいた人たちや経済的にキャッシュフローが安定しない人が増えているのだろう。
ただ、住宅市場は異なり、足元では再上昇している見方もできる。
歴史的に見れば住宅価格は上昇トレンドを維持するかもしれない。
その背景は何か?
リーマンショック前と違う点はないか?
新規住宅着工件数の推移だが、リーマンショック以後は数が減少し、リーマンショック前の高さに回復は一度もしていない。
その間にアメリカの人口は3500万人くらい増加しており、割合で言えば10%くらい人口が増えているが住宅市場は完全な回復はしなかった。
現代的なライフスタイルや親と暮らす若者世代の増加はアメリカでも同様であると言われているが、住宅市場が強気になったのはコロナ後にしか見えない。
そりゃ供給は足りないので、日本同様に一部の箇所に価格高騰があっても不思議ではない。
それを示すように空き住宅の推移は歴史的に低水準であり、リーマンショック以前は空き住宅が増加しだしているのが一目で分かる。
住宅着工件数が増加しながら空き住宅の増加が顕著なら問題になるのだろう。
足元は多少空き住宅が増えているが問題のある増加とは思えない、明確に分かるのがリーマンショック以前と以後の長いトレンドで、これを変えたのがコロナショックだったというのが皮肉ですね。
ここで振り返って、再び住宅の価格推移は長期で見ると、住宅価格がリーマンショック時を超えたのが2017年で実に10年かかった。
10年の間は住宅着工件数は相対的に少なく、空き住宅がじわじわ減少する良い需給関係だったようだ。
住宅を買う際に重要なのはローンを組んだとしても、住宅価格が上がるから大丈夫だと組む点で、逆に価格が下がるようなら高いローン金利とただの負債と化すため、価格が下落トレンドになるようならローンを組んで買うのは不利だろう。
アメリカの空き住宅の数が底を打ったように見えるのは、コロナ禍で建設が遅れていた住宅が完成したり、バイデン政権の政策、集合住宅の建設の多さなどがありそうですが、過去でも空き住宅はあったのを見ると、日本より広いアメリカだと地域差もあるのだろう。
今回はアメリカの住宅関連のデータを見てきたが、リーマンショック以後の住宅着工件数の未回復による在庫が増えない状況が、コロナで金余りと低金利で住宅ニーズを急激に高め、それによりリーマンショック前と同様に住宅価格の上昇トレンドを招いたため、在庫不足と価格上昇継続が住宅需要に対するアンサー。
リーマンショック前は在庫も積み上がっていたため、この点が現在とは異なり、住宅が足りないなら住宅着工から遅れてくるため供給サイドはこれから、需要サイドは高い金利と上がらない住宅価格でどう見ているか?