【21年IPO】企業向け/医療機関向けPR支援サービスのEnjinは割安水準へ
企業にとって効率的なPRは重要で、当ブログで取り上げるだけでも広義でマーケティング企業であれば相当な企業が上場しています。
各社に強みがありますが、Enjinは医療機関向けに強みがあるPR支援企業で21年という最も金融緩和で湧いていたタイミングで上場したがゆえに22年は21年IPO組と同様に下落を続けています。
決算説明資料 |
一般企業向けのPR支援が主力ですが、医療機関向けのプラットフォームサービスが伸びてきており、最新では売上の1割が医療機関向けプラットフォーム事業が生み出しています。
では、Enjinがさらに下落していく理由があるのか?を最新決算や株価指標などから見ていきましょう。
最新決算
22年度は41%増収の98%増益という強烈な結果を残しています。
23年は32%増収の24%増益と業績予想を出しており、10月は1Qの決算発表をしています。
10月決算発表を受けて14日から現在までで30%株価が下落しています。
理由は業績進捗の悪さで売上は前年と前々年が21%だったのに対し18%、利益は22%→15%と進捗率が低いため2Q以降に下方修正されるリスクがあります。
決算説明資料 |
売上減少の理由としては若手社員が多くキャンセル件数が大幅に増えているという理由があり、同時期に株価が暴落したメンバーズも新規採用による人員の能力不足が業績にダメージを与えていました。
マクロ環境も悪化している状況で若手社員が急増しているというのは投資家からするとかなりのリスクです。特に日本では人材流動化が弱いため、業績悪化時に負債となるリスクが高いです。
Enjinは下期偏重モデルのようなのでQAでは想定通りとしていますが、利益面の低さは下方修正リスクを気にしますね。特にPRは景気の波を受けやすいので、景気悪化リスクの高い23年に下期が被っているので到達可能かは疑問です。
事業モデル
決算説明資料 |
ビジネスモデルは企業とメディアを繋ぐのが基本で、中小企業や医療機関などをメディアに出演支援するタイプで世の中の広告業の動向は重要です。
また、昨年は100%成長となった急成長のメディチョクはメディアは質問を医師へ、医師は発信したいネタをメディアへと双方向で発信しネタをマッチングさせます。基本的にはメディアからの一方通行なのを改革できるサービスですね。
BtoBの営業向けのアポチョクは縦割り社会をさくっと突破できる営業支援で決裁権のある人物の元まで一足飛びで営業できるように審査・受理するプラットフォーム
アポチョクは21年からの事業でまだまだ認知度不足でもあり、これからの事業で成長の原動力はメディチョクになっています。
PR支援サービスが主力なので企業の予算の動向は重要なので、主力事業は景気の影響を受けやすいと思いますが、まだ大丈夫でしょう。
PR支援は広告と違い、メディアが必ず発信するものではなく、例えば○○という注目のものがあり、それをメディアが情報として取り上げるものなので広告より手間がかかる反面、取り上げるられる場合は時間が広告より圧倒的に長いので情報が正確に伝わりやすいというメリットがあり、それにより医療機関などに強みがあるわけですね。
あくまでも発信する内容がないといけないので、医療機関にせよ、中小企業にせよ発信する情報がある場合に効果を発揮します。
株価指標
最後は株価指標ですが
予想PERが14倍で昨年上場時の47倍を大きく下回っています。
予想PSRは3.5倍程度
自己資本比率は82%で非常に健全
ROICは21%で経営資源を適切に投下できています
営業CFは19年からのデータでは右肩上がりの黒字、IPOによる財務CFもあり手元資金は非常に潤沢=新規採用増加
財務CFを除いて昨年のフリーキャッシュフローは7億6800万円
全体的に評価すると業績予想通りに進捗できるなら圧倒的割安
現在の株価水準は下方修正を前提とされた株価水準であり、直近決算から3割下落しているように下方修正へ向けた株価調整は進んでいる可能性があります。
しかし、21年IPOなため適正PERは不明ですが、予想通りに3割増収2割増益ならPER20倍は最低レベル。
メディチョクやアポチョクなど本業のPR支援で構築したネットワークを活かした成長事業があり、安定的な営業CFや自己資本比率から成長への投資は十分可能だろうと思います。
繰り返しますが下方修正がなければ極めて割安な株価水準です。