投機ではなく投資をしよう
日本経済新聞の記事にて個人投資家のろくすけさんが2020年に書いていた記事を見つけて、なるほど確かにと思ったのが今回のエントリーです。
指数ではなく個別株に投資をすると、理不尽な下げも上げもくらうことがあり投資を継続するのはかなり困難なことです。
事実として日本人投資家で1銘柄を1年以上保有する人はほとんどおらず、だいたいが半年かそれ以下の期間しか保有していません。
大多数は長く保有できないのに、それでも長期投資の方がいいとされているのは不思議ですよね。
日本の主流は「株式投機」? 投機より投資を目指そう |
こちらが提示されている投資と投機の違いです、投機は株価だけを見て株価の動意にだけ注目しており、コモディティの売買や通貨の売買と変わらないですね。
投資は企業の価値に注目し、将来に渡って得られる企業からの利益に注目します。過去の成長性を見て将来の株価をある程度計算できますし、株の価格が上がっていても同じかそれ以上に企業の価値が上がっているならば株価に左右されず、理論的に投資で利益が生まれます。
記事内では別の事例で投機が紹介されていますが、2022年に起きた投機を見る方が参考になると思いますので、2社を例に単純な投機と投資から投機へフェーズ移行した例を見ます。
プレシジョン・システム・サイエンス株式会社
プレシジョン・システム・サイエンス株式会社は遺伝子検査などの機械を作っている企業です。PCR装置も開発しておりコロナ発生時にも同様に投機されました。
22年はサル痘が世界で拡がっているため、その初期のタイミングで株価が急騰しました。
ただ、企業業績は非常に悪く、特需があるから単年だけ企業業績が強くでるということもないので一過性で終わっています。
テーマが持続的な企業価値上昇に寄与するなら投機→投資もできるはずですが、この企業の場合はコロナの暴騰後も暴落したため一過性銘柄です。
投資→投機に移った例:ダブル・スコープ
最近話題になったダブル・スコープも典型的な投機銘柄ですが、上で例とした企業と異なり、投資で株価が上がっていた面もありました。
企業としては王道的なEV銘柄でリチウムイオン電池に使われる材料を生産しています。
6月以降の上昇に関しては韓国子会社のIPOが成功すると見た投機です。
確かにIPO成功すれば企業にとっては価値向上になるので良いんですけど、投資をするのであれば上場が成功したあとですね。結果は調べれば分かりますが株価が物語っています。
ただし、ダブル・スコープは投資で上がってきた側面があります。
というのも、22年は黒字化も成功して業績がどんどん上がっていくフェーズでした。
そのため企業価値を割安と評価するPERは改善を続け、成長性は高くキャッシュフローの成長性は確信できた企業でした。
そのため、投機で株価が崩れたいまでも年初来安値へ向かっている状況にはないですね、いまは企業価値で株価が保たれている状況だと思いますが、投機筋が多くいるため上下に荒いです。
投資の方が精神的にも、将来的にも安定
「投資」だと値動きは常に見なくてもOK!
投資であれば、短期の値動きが激しくても、企業の成長見通しに変化がない限りは持ちっぱなしにできる。企業の業績は定期的にチェックしなければならないが、値動きは常に確認しなくて済む。負担が少ないので、仕事を持つ人でも取り組みやすい。
記事では最古の会社である東インド会社を例に企業価値と投資家への還元が増えていく過程が語られており、歴史が好きな人なら投資への理解を深めるものになります。もちろん、歴史を詳しく知っている人は東インド会社への投機と終末も知っているでしょうがw 良い例です。
投資というのは企業価値の継続的な成長に自分の資本を投することだと思っているので、2,3年のスパンでも投資と呼べないかもしれません。
ウォーレン・バフェットは投資した会社を信頼しているので10年だって待てるわけですが、なかなか日本株で待つのは恐いですね。
ただ、業務スーパーの神戸物産や医療人材のエムスリーなどは10年間で急激に成長してきた企業なので、中小型株でも投資は十分に可能です。
いまは企業をさくっと調べるツールが多くあるので例えば
①過去5年間平均で25%売上成長
②過去5年間平均で利益が15%成長
といった銘柄を見つけるのが簡単で、利益が毎年15%成長している企業を見つけてきて、永続性や優位性があるのか?成長性は鈍化していないか?企業価値に対して割高ではないか?
これを1時間あれば30社くらいは簡単に調べることが可能です。
そこからさらにピュアアルファを見つけるのも投資家の作業で、私はこの作業が好きですね・ω・
自分で調べて投資した場合、もしも相場の急落で保有株が下がっても投資した理由があるため、買い増す決断もしやすく、反転相場で簡単に利益を生み出せるのも投資です。
投資先を知っていれば関係ない下げでは精神的には揺さぶられる必要がないですね。
長期投資をしている人からすれば、企業に関係ない下落理由は全て美味しい押し目買いのタイミングです。また、株価が反発してもすぐに利確しないですね、企業価値を知っているので企業価値の限界を見極めるのも簡単です。
投機は運ゲーかつ人生をつまらなくする
投機が個人的に難しいと思うのは運ゲーだからです。
ダブル・スコープはIPO失敗でまたたく間に半値になりました。
投機の場合はレバレッジも活用することから、大きく儲かるんですが、失うときは一瞬で借金を背負うことになります。ダブル・スコープ問題のときは電車が止まりましたね。
人生を投機に賭けるのは?と思いますね。
また、投機はごく短期間で有効な材料を見つけて短期間で取引するので、時間も取られますし、精神も取られます。
勝てば気が大きくなり攻撃的になりますし、負ければ最悪は死にます。
しかも、投機で勝ってしまうと投資のちみちみとした永続的安定性は割に合わないと思うため、より利益の得られる方へと誘導されていきます。
例だと、暗号資産→個別株投機、FX→暗号資産みたいな話題になっている投機しやすい商品を渡り歩く感じですね。
そして最悪なのは投機ではお金を得る以外では偉える物がない点です、お金こそ道具でしかないので、本来は投資で安定的に資金を運用しながら、若い内は自己投資を最優先するべきです。
ただ、投機というスパイスや興奮を知っていると知性が下がるだけでなく、自己投資すら小さなものに見えるので、手っ取り早く稼ぐ方法を主とした時点で投資も自己投資もできなくなるでしょう。
ただ、それでも投機で成功して一定の富を得られれば羨望や余裕が生まれるので、そのリソースをどう活用するか?ですね。
事業で一発大成功した人がその後の投資や事業で失敗するのは、一発大当という感覚が染み付いているから難しいと思います。
投資で投機を活かす方法
凄まじい株価の乱高下がない状態を投資による動きとします。
ただ、そこに例えば企業にハッキングが相次いでサイバーセキュリティ銘柄に注目!と材料が出て、その企業の株価が通常より大きく変化(最初は大上昇)します。
このとき、企業にハッキングが多いだけでは次Qの業績は上がりませんね?、まだ企業価値には影響ないですが、材料で株価が上がります。これは投機ですよね。
しかし、投資をしていた人からすると企業価値に対して株価が上がるので、他に投資先があるとすれば、その銘柄だけ割高になるので配分しようと思えば売ることになります。
ここで重要なのは投資していた人は求める企業価値の水準があるはずなので、割高だから売っただけで企業価値自体は変わったと考えませんね。
次に、投機により株価が上昇した材料がなくなるとプレシジョン・システム・サイエンス株式会社のチャートのように株価が下落していきます。
そうなると元々投資していた人の一部は、企業価値的に適正か割安な水準になったら買い戻しに入ります。
このとき、サイバーセキュリティという広範囲。
この中にある企業で企業価値が良いと思う企業に投資していた人は世の中の材料で利益を得て、沈静化したあとは再び投資をすることで、世の中の時流には乗っているので利益を生み出すはずです。
このときに発生した投機を活用すれば、保有していたら売却できますし、投機のあとでチャートが下落すれば知っているわけなので買い戻すことが投機でわけも分からず買った人よりも圧倒的に有利な条件で買うことができます。
これは長期で見ればセクターごとに何度も起こることなので、各セクターで優れた企業に投資していれば、投機で買いが入ったときに先行者利益だけ奪って、興味を失ったら買い戻すということを長期間の中で何度も色々なセクターで可能になるわけです。
このとき重要なのは
①保有していること
②企業価値を知っている事
③他に有利な条件で投資できる投資先を知っていること
これらがあれば、相場で大負けすることはないです。